そろそろ昇が落ちる。やけに綺麗な橙だ。ゆっくり空を見るなんてどれだけ久しぶりだろう。こういうのを黄昏れるって言うか。少し汗ばむ気温の中、くわえてる飴が口の中で粘つくのが不快で、そのまま口から落とした。階下に人が居たら危ないだなんて気にもならない。乗り出すように寄り掛かったフェンスがギィと嫌な音を立てる。もう少し前に出れば俺も落ちられそうだ。「坂田…」後ろから突然掛かった声に身体中の汗が一気に冷たくなった気がした。もう少し待って欲しかった。今考えてたんだ。どうやってお前から離れるかを。どう別れを告げるかを。明日から無職の俺が、お前の隣に居れるわけねぇだろ。
 
 

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