一息つこうと思ってグラウンドわきの木陰に座ってると、どこからともなく剣城がやってきた。
 剣城はおれの隣に立つと、一瞬だけこっちを見てから、視線をグラウンドに移した。
 なんだろう。一緒にサッカーしたいのかな。
「どうした?」
 声をかけると、剣城は一度だけゆっくりまばたきをした。だけど返事はない。
「あ、サッカー、する?」
「……いや、いい」
 草の上に置いておいたサッカーボールを手に取って聞くと、今度は短い返事が返って来た。
 じゃあ、何しに来たんだろう。不思議に思って剣城の横顔を眺めてみる。グラウンドを見つめる剣城は、なんだかいつもと違って見えた。
 しばらく何も言わずに、ただ少し暑い風に吹かれていると、剣城が後ろを振り返って歩き出した。
 どこに行くんだろうって思ってその背中を見ていると、剣城はおれの真後ろに、背中を向けた状態で立ち止まって、そこに座った。
「うわっ」
 剣城が、おれの背中を背もたれみたいにして寄りかかった。ちょっと暑いけど、あんまりいやじゃない。むしろ、普段はツンケンしてる剣城が、こんな風に背中を預けてくれてるのが、ちょっぴり嬉しかった。
「えへへ」
「……なに笑ってんだよ」
「何でもないよー」
 体をゆらゆら動かすと、「動くな」って声と一緒に肩を叩かれた。
 そろそろ休憩は終わりにする予定だったけど、もう少しこのままでもいいよね。




end












特に意味は無い
夕方、二人仲良く木陰で寝てるところを三国先輩が発見する



2011/07/30 17:36
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