「すき」
「きらい」
「すき」
「……すき」
「キライ」
霧野が口を閉じると、神童が笑った。
「お前はおかしい」
「どこが?」
「全部が」
「特に?」
「思考、と嗜好」
霧野も笑う。
「お前だって充分気持ち悪いよ神童」
「どこが」
「おれと同じで思考と嗜好」
「でも、すきなんだろ?」
「そんなお前がな」
霧野がそっと、神童の肩を抱いた。前髪をかきあげて、額に口づけを落とす。
くすぐったそうに神童が笑った。
「でも、霧野は、」
次は神童が、霧野の頬に口づけた。
「霧野をすきなおれがキライ、そうだろ?」
「その通り」
2人はしばらくクスクスと笑っていたが、やがて笑いが治まると、2人は互いの瞳を見つめた。
「好きだ、神童」
「知ってる」
「神童は?」
「おれは、おれを追いかける霧野がすきだ。そんなお前をふり続けるのがすきだ。だから、霧野がキライだ」
「知ってる」
「霧野は?」
「いつまで経っても捕まらない神童がすきだ。だから、すきだ」
「分からないな」
「別にいいよ」
霧野が、神童の頬に口づけようとしたのを、神童がそっととめた。
そして、霧野の両腕を掴んでから、霧野の唇に自らのそれを押し当てた。
end
ややこしい恋してますね(笑)
2011/07/13 20:53
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