2人とも女の子で百合
ドルフィンの一人称改変
セクハラ注意!













「ビヨンはあたしより背低いね」
 特に深い意味があるでもなく、本当になんとなく呟いてみたら、ビヨンが眉をしかめた。
「そうですね」
 答える声もいつもより低い。あぁ、これは怒ってる。
「もしかして、気にしてた?」
「いえ、そんなことありません」
 そうは言っても眉はしかめられたまま。ビヨンはひとつため息をつくと再び自分の手の中の本に視線を移した。
「ごめんビヨン。でも平均よりは高いんだから気にしないでよ」
「だから気にしてないって言ってるじゃないですか!」
 ビヨンが珍しく声を荒げた。いや、そんなに珍しくもないか。意外とビヨンって感情を表に出すタイプだからね。
 不機嫌丸出しなままベッドに小さく座ってるビヨンが愛しくて後ろから抱きつけば、彼女は慌てたように持ってた本を取り落とした。
「わっ………」
 それでも腕の中に大人しく収まっているビヨンを抱きしめたまま、彼女の髪に顔をうずめる。甘いシャンプーの香りがした。
「ニース……腕、苦しいですよ」
 ビヨンが不機嫌そうに呟くけど、それが本気じゃないっていうのがよくわかる。なんていうのかな、さっきの声より微妙に優しいっていうか、そんな感じがするんだ。ご要望通り腕を緩めて、だけど代わりに少しだけ寄りかかってみる。
「ん〜…」
「あんまり甘えないでください」
 相変わらず不機嫌そうだけど、ビヨンは甘えるより甘えられる方が得意らしくて、あたしがちょっと元気ない時(まぁそんなこと滅多にないんだけど)とか、気がついたら隣にいて、何も言わずに寄り添っててくれる。
 今だってホラ、下からビヨンの腕が伸びてきて、あたしの髪を優しく撫でつけた。
「ビヨンは体温高いな〜…」
「あなたは暑苦しいです」
「ハハッ、ひどいや」
 いつだって口ばっかり。冷たいことを言う彼女の手のひらはしっとりとして柔らかくて、あったかい。
「まぁまぁ。ビヨンの身長がいくらあたしにかなわなくたってさ、」
 ビヨンのお腹の前で彼女をホールドしてた手を少し持ち上げる。
 まるであたしのなんて比べ物にならないくらい豊満な胸にそっと触れると、ビヨンの体がピクリと跳ねた。
「ビヨンの胸にかなうやつなんてなっかなかいないよ……いたたたっ」
 ビヨンが動かないのをいいことにセクハラよろしくベタベタ触ってると、容赦なく手の甲を抓られた。そりゃあもう、手の甲の皮膚が剥がされるんじゃないかってくらいに。
 思わず手を引っ込めると、素早く逃げ出したビヨンがベッドの向こう側からこっちを睨んできた。
「ビヨン、手、痛い」
「じ、自業自得です!!」
「なんで触っちゃいけないの」
「なんでって…、突然触られたら驚くじゃないですか!!」
「あ、突然じゃなきゃいいんだ?」
 言った後で、あ、と思った。これはマズい。慌てて謝ろうとした時には既に遅く。飛んで来たクッションがもろ顔面に直撃した。
 それからすぐに、「いい加減にしてください!!!」って言うビヨンの声が聞こえてきて、それを追うように、バタンと、扉の閉まる音が部屋に響いた。
 ビヨンってホント、一々反応がうぶだよね。そんなところが好きなんだけど。でも、そろそろ慣れてくれたっていいんじゃないかな。こんなんじゃ、いつかあたしの手の甲の皮膚が剥がれちゃうよ。



end












ニスビヨの日おめでとう!!
初ニスビヨが百合ですみません。金髪美女と褐色美女!!!



2011/09/03 23:33
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