※マクディラちゃんが出演してます












 よく晴れていて暖かく、優しい風の吹く日に、わたしはテレスと散歩に出かけた。
 本当にただぼんやりと、行き先も決めず歩き、ぽつぽつと時折話しをする、平和なことこの上ない散歩だ。
 この辺りは昨日雨が降ったのか、太陽が水溜まりに反射してキラキラと輝いている。
 水溜まりを踏まないように歩きながら、ふと、彼の横顔を覗く。
 何を考えてるかわからないような無表情だが、わたしには彼の考えてることがぼんやりとわかった。少なくとも彼は今のこの状況を良しとしているようだ。
 あまりにも長閑すぎて、うっかり蝶でも飛んできそうだ。日差しもほどよく、歩きながら眠ってしまいそうな雰囲気だ。まぁ、そんな失態を演じる気はないが。
「おいエドガー。こっち曲がるぞ」
「あぁ…、どこか目的地でもあるのか?」
「いや、別に」
 やはり我々の行く先にゴールなど無く、ただ彼の思いつきに従いながら大通りを曲がると、ふと向こうの方から聞き慣れた声がした。
「ワオ!!エドガー!テレス!」
 顔を上げると向こうの交差点に、ディラン・キースとマーク・クルーガー。わたし達を見つけるなりマークは歩いて、ディランは走ってこっちにやってきた。
「マークにディラン?」
「テレスー!!」
 ディランは走ってきた勢いのまま、テレスに飛びついた。そんな彼を引き剥がすでもなく、まるで何事もなかったかのようにスルーしながら、テレスはマークを振り返った。
「どうしたんだ?こんなところで会うなんて珍しい」
「それはこっちのセリフだよ。…あと、なんで君たち一緒なんだい?」
 マークがニヤリと笑いながらわたし達を交互に見やる。すると、ディランが声を上げた。
「マーク!きっと二人もミーたちとおんなじだよ!!」
「……オー…、ディラン…」
 わたし達をからかおうとしていたらしいマークが思わず苦笑いする。そんな彼の心中を知ってか知らずか、ディランは勝手にテレスでじゃれている。
「じゃあ、そういうわけだから…」
「えぇ?もう行くのかい?」
「ユー達はどこ行くの!?」
 テレスがやんわりとかわそうとするが、まぁこの2人は食いついてくる。
「…いや、わたし達は特に行きたいところは…」
「ワァ!じゃあただの散歩?」
「それなら一緒に行かないか?この通りをずっと行ったところに、ステキなカフェがあるんだ」
 確かにこの4人で出かけるのも、それは楽しくなるだろう。でも、本音を言うと、今はテレスと2人きりで歩いていたい。
「んー…、エドガー、どうする?コイツらと行くか?」
「わたしは…、」
「ね〜、ミーたちと一緒に行こうよぉ!!」
 駄々っ子のようにテレスの腕をぶんぶん振るディランを見ていて、ふと、奇妙な感情が胸のうちに生まれた。
 プラスかマイナスかと聞かれればマイナス。黒か白かを聞かれれば黒。この降り注ぐ優しい日差しとは似ても似つかないような、ドロドロした感情。良い感情ではないとは思うが、わたしはこの感情の名を知らない。(あらかじめ言っておくが、決してマークとディランが嫌いなわけではない。)
「エドガー…?」
 テレスが不思議そうに顔を覗き込んで来たときには、まるではじかれたように、わたしは行動を始めていた。
 テレスの、ディランがいるのとは逆の方の腕を掴む。
「は…、エドガー?」
「マーク、ディラン。悪いがそのカフェには2人で行ってくれないか?火急の用を思い出した。失礼する」
 まるで元々完成していた文章を暗唱しているかのように、わたしの口からつまらない言い訳がスラスラと流れでた。
 失礼だとは自覚しているが、マーク達の方を振り向かずに、ぽかんとしているテレスの腕を引いて歩く。何故だか気持ちが高ぶっていて、あまり頭が回らない。
 建物の門を曲がり、背後で手を振るディランと、マークの視線がなくなったころ、今まで引っ張っていたテレスが、つと隣に来た。
「…な、なんだ」
「やきもちか?」
「なっ!!?」
 わたしはテレスに言われてようやく気づいた。くだらない。わたしはやきもちをやいていたというのか。
 しばらくテレスはこちらを見ていたが、やがて悪戯小僧のようにニィッと笑いながら、わたしの腕をつかみ直した。
 前を行くテレスの背中を見ながら、わたしは心の中で、この顔の火照りをこの降り注ぐ日差しのせいにした。




おまけ
「フー!!あの2人はベリーホットだね!」
「あぁ。…ディラン」
「なんだいマーク」
「少しテレスにベタベタしすぎじゃないか?」
「ワァオ!ユーもヤキモチかいマーク!!」
「そういうわけじゃ…ッ!!」
「オー!安心してマーク!!ミーにはマークだけなんだから!!」
「ディ、ディラン!!」












どっちが上だかわかったもんじゃない/(^O^)\
若干ディランちゃんがルー●柴化してる←



2011/02/28 20:08
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