いい加減こんな自分に自己嫌悪したっていいのに飯作って洗濯して掃除して空いた時間に適当にバイト入れて。新妻気取りなんて性に合わないっつーの。
 普通は世の中の男共が汗かいてせっせと働いてる時間に『今日の晩飯は何にしようか』なんて考えてスーパーで買い物してさ。おかげでレジ打ち係のおばちゃんに『お仕事は何をしてるの』なんて笑顔で聞かれた時は焦って『今は体の不自由な母の看病してる』なんて、柄にも無いこと答えちゃったよ。鬼道くんのバカ。もうあのスーパー行かねぇ。でもあそこ野菜が安いんだよな。
 毎日の晩飯を考えるのは意外と大変で散々悩んで今日も味噌汁になった。でも昨日の味噌汁の具は豆腐とワカメ、今日のは大根とワカメだから。あれ、ワカメ2連発? まぁいいよな。ワカメ食うと髪が健康になんだよ。なぁ鬼道くん。
 味噌汁と焼き鮭と菜っ葉のおひたしと白米が食卓に2人分並ぶ。質素だ。でも料理の腕にはそこそこ自信がある。飾り気ない日本食ほど料理の腕が試されんだよ。飯の炊き方ひとつとったって拘りあんだから。量が足りなきゃ何でも追加してやるよ。
 現在19時18分。そろそろ鬼道くんが帰ってくる時間だ。きっともう5分も経たないうちに帰ってくるはず。おれは椅子に座って鬼道くんの帰りを待った。そう言えばなんか忘れてる気がすんだよな。なんだろ。いつも見てるトーク番組は録画したし。メールの返信も全部した、はず。
 ガチャリ、ドアが開く音。ああやっと帰ってきた腹減ったよ鬼道くん早く食おうぜ。お迎えに上がりに玄関に行く。そこでふと、何故か目に入ってきたのはいざという時のために置きっぱなしにしといた非常食。ああこれ買ったのいつだっけ。鬼道くんが一緒に暮らそうっつってくれた日だ。あの日も確かに寒かった。鬼道くんの愉快でくだらない『これから』についてイヤと言うほど聞かされた。それがくすぐったくて2人で笑った。ああ。あれからもう。
「不動、」
 鬼道くんが柔らかく笑っていた。なんだよその顔。見ててこっちが照れるっつーの。
「今日で、一緒に暮らし始めて1周年だ。今までありがとう。これからもよろしくな」 なんだそれなんだよ。意味わかんねぇよなんで花束持ってんだよおれ男だってのに。てゆーか、おれなんも用意してないよごめん鬼道くんさっぱり忘れてた。あー目頭あつくなってきた。
















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 2011/12/12


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