このままで。

Always been this way.

君の悪い癖

最近、承太郎に悪い癖がついた。

「花京院、早く起きろ」
「やだ」

以前なら、ここで彼は布団を強制的に剥ぐか、呆れて部屋から出てしまうか、だったのだが。
195センチの身体を折り曲げ、花京院の顔に承太郎の顔が迫る。

「…」
「…」
「……(うわあ承太郎の顔近い近い綺麗可愛い)」
「……(やれやれだぜ)」

視線は逸らさないまま、心の中で互いに互いを想う。
そっと、上から覗く顔に手を伸ばす。
と、同時に。
はあ。溜め息一つ。
花京院の右手が触れるより早く、承太郎の左手がその手首を掴んだ。

「で、いつまでこうしてるんだ」
「うーん、この良い雰囲気を満喫し終わるまで?」
「どこが良い雰囲気だ」

やれやれ、と今度は口に出してみる。
しかし、花京院はまるで態度を変えない。
いつまでも駄々をこねる子供のようだ。

そんな子供の扱い方を知る由もない承太郎は、最近、承太郎なりの叱り方を覚えた。
手首を掴まれたままの右手の、人差し指に、キス。
その指を、ゆっくりと口に含む。
花京院の背中を、ぞくりとした感覚が襲う。
そして。

「!…承、太郎」
「…ふん」

甘噛み程度だが肌に触れた固さと、しっとりと指に残る感覚。
あっという間に目も冴えた。
承太郎の思い通り、というわけだ。

「…もう」
「早く起きろってことだ」
「はいはい」

(…なんて、乗せられてるフリしてるんだけどね)

少し前までよりわずかに増えた、二人のふれあえる時間。
花京院にとって、他ならぬ承太郎がくれる、大切な時間。

「…」
「花京院?」
「うん、起きるよ」
「早くしろよ」

承太郎が体を起こした。
離れていく体温が恋しくて、花京院も起き上がった。

君の覚えた悪い癖。
でも、それは君が僕にしてくれることだから。
今日は君のおかげで良い目覚め
か、も。




今回はこれで締めたかったんです
噛みグセ良いですよね!
承花のようにも見えてしまう か も

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