得意不得意っつーものは誰にでもある。 俺はどちらかといえば、和食が得意なように。 「うーん、なんで僕が作るとこうならないんだ」 「時間の置き方や冷ます温度の意識だろうな。味付けが近いとそれがより顕著になる」 「なるほど」 熱心になるこいつは、洋食なら俺よりもすいすいと作りやがる。味も俺好みだ。 「和食はもう少し勉強かな。明日は僕の得意料理にしますね」 こくりと頷く。 人が作る飯を待ってる時間は、どうにも緊張する。だが、こいつの場合は違う。ガキみてーだが、少し心が浮かれやがる。 あれだな、胃袋を掴まれてるってヤツだ。
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