Black Glasses(花承)
※私の最近の体験談を脚色しました。
※生存院の設定かなにかだと思ってください。(適当)
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「買おう」
強引に手を引っ張られ店に連れ込まれた時、花京院が承太郎に対して発した言葉がこれだ。
買う?何を?
そう問わずとも、目の前に取り揃えられている色も形も様々な縁が店内の照明の光に反射する。
見ればすぐにわかる。眼鏡だ。
「急だな」
「そうさ、急を要するからね。ほら」
そう言って彼が指さした先にある赤の垂れ幕が、これでもかという大きな文字で
『2点購入で2000円引』
との売り文句を吐きかけてくるように揺れていた。
なかなかどうして、こいつは買い物に関しては庶民的だ。SPW財団で働く彼が受け取る額は生活に困るということを知らずに暮らせるだけあるはずなのに、自身の生活は実に慎ましい。目に余る無駄な高い買い物は定期便の佐藤錦くらいだ。
本人の主張によれば、今回の眼鏡は無駄ではないらしい。
「いやあ、スタンド使い調査中の戦闘で吹っ飛ばされましたからねえ。見事に折れてしまったよ。早急に代役が欲しいんだ」
「俺が買う理由はないぜ」
「君もメガネを使う時がある。二つあればいざと言う時安心だ。今必要じゃなくても今買えば安く済む。いいことだらけじゃあないか」
安ければいい。のか?
と口を出した時には、もう花京院の目にはシャープなエッジの黒縁眼鏡がかけられていた。
「...」
「...え?何か言った?」
「...似合う」
「だろう?」
満足そうな表情を浮かべてから、彼はまた他の眼鏡に手を出した。
「移り気なヤツだな」
「何言ってるんだ、選択肢は決まってるよ」
「何がだ」
「...君が初めて眼鏡を選んでくれた時の、あの眼鏡のフォルムと似たものを必ず買うと決めてるんだ。色と太さは好きにするけどね」
どうやら、彼の眼鏡選びは俺ありきだったらしい。
...俺にとって、お前の身に付ける眼鏡なんて重要じゃあねえのにな。
「...俺のは、お前が決めろ」
「わかった!任せてくれ」
適当に黒縁眼鏡をとってかけてみれば、似合わないな、と少し優しげにまぶたが弧を描いた。
レンズ越しの世界は、くっきりとこいつの笑顔を写してくる。
早く買って帰りたい。
いや、見逃しのないように、早く眼鏡をかけたい。
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花京院が庶民的な話が書きたかった。
タイトルは久しぶりにアンジェラ・アキから。
以下リアルの話。
メガネ歴10年を超える私ですが、今まで憧れつつ手を出さなかった黒縁メガネをこの度買いました。買った理由は相方に「二つ買えば安いよ!黒縁かけたいからそろえよう!」と言われたからです。安く買えて満足してます。先代は6年使いました...。