このままで。

Always been this way.

古典パロというか(花♀承)

あまりに私得なのでつまらないかも。古典の話とか。

『大鏡』なんかの「花山院」の文字に反応したのは私だけじゃないですよね。
院なだけに出家してるわけですが、めちゃくちゃ寵愛した女御が死んだことで出家を決意したんだとか。
その女御、「一条殿の女御」とも呼ばれていたそうです。
ここでですよ。私の花承脳は勝手に
花山院→花京院、一条殿の女御→空条殿の女御
という関係を即座にイメージしてしまったわけです。そこからの古典パロ妄想の楽しさと言ったら…。

以下、妄想の内容としては『大鏡』は全然関係ありません。あと確認までに花♀承。

・設定
花京院は皇族の血筋だけど皇位継承権は無い。承太郎は大納言の娘。
身分の高い花京院は相手を選ぶのに不自由ない(というか向こうから寄ってくる)ので複数人と関係持ってると思います。承太郎に一目惚れしてからは他は眼中に無さそうなので少なくとも一番最後に娶ることになるはず。
花京院は初めて会った承太郎にしつこく言い寄ります。和歌でも詠みながら。

「美しい、君の瞳は若葉色…いや若草か、萌黄だろうか。新たに芽吹く命の色だ。僕の心にも、新たに想いが芽吹きます」
「瞳の色しか興味を持たれてねえようだ…それに一体、何度目の芽吹きなんだろうな」

みたいな和歌のやりとりしてください。あ、別に上の花京院の科白は和歌でもなんでもないですよ。訳した内容の話です。
平安時代とか、男性に言い寄られた女性は基本的につれない返事をするのが通例のようですが、まるでツンデレの先駆けですよね。プライドと向上心の問題でしょうけど。
そんな女性の中でも承太郎はとりわけ男性に媚びなさそう。うた恋い。の小野小町くらいに。小野だけにとかじゃなくて。
花京院が承太郎を娶ると決めて家に呼んでから、やっぱり最初はつれない承太郎。

***

屋敷の奥へ奥へと案内される。
どこを見ても、広くて立派な造りの家だ。
美しさと醜さが紙一重だと知っているだけに、承太郎はきらびやかなこの空間に居心地悪さを覚えた。
やれやれ、と小さく呟くと、先導していた小間使いの少女がこちらを振り向いた。
案内を続けるように促すと、また彼女は緊張した足取りで進み始めた。
(…私の身分など、どうでも良いだろうに)
家柄は承太郎にとって力であり、縛りでもあった。
言い寄ってきたり、良い顔をして近付いてくる人間は多かったが、所詮、誰も本当の私は見ていなかった。
今こうして人を見る目に長けているのは、そんな奴とは一緒にいたくなかったからだ。
とはいえ結局、身分の縛りからは逃れられなかった。
父より身分の高いあの男に呼ばれて、今ここに来たのだ。
前を歩く少女の足が止まった。
どうやら着いたらしい。
その部屋の奥にいる人物、私を呼んだ張本人の下に。
向こうも気付いたようで、こちらへ、と招く声。
少女に案内の礼を言い、一人、彼と対峙する。
二度目に見るこの顔。
前と同じ、あの笑顔だ。

「来ましたね」
「呼ばれたからな」

無愛想に口を利くのは勿論わざと。

「あなたを呼んだのは他でもない。ここで暮らしてもらいます」
「…どうせ断れないんだろう?」
「そうですね。これからあなたは、僕のものだから」

悔しい。
下の者には擦り寄られ、上の者には逆らえない。

「別に私は、愛されようとは考えないし、振る舞いもしない。先に言っておく」
「いいでしょう…ただその生意気な口、少し直さなくてはね」

そう語った瞳がぎらつき、柔らかい笑みが消える。
背中に、ぞくりと寒気。
ぐい、と花京院は承太郎を胸元へ引き寄せ、そのまま彼女の唇を奪おうとする。
慣れない距離感に、反射的に承太郎は腕を突き出して拒絶を示した。

「や…!」

思わず出た悲鳴は、いつものように嫌味を含まないだけに素直だ。
花京院もそれを悟る。
着物の上から掴んできていた腕が離れていった。

「あなた以外を、これからは愛さない。そう決めてあなたを呼んだんです」

静かな声で、彼は叫んでいた。

「承太郎、君に誓います」

その瞳は嘘をついていないと、承太郎にはわかった。

***

皇位継承できないことや人間関係云々で悩む花京院の姿を知って、支えになりたいと思うようになると良いなあ。
多大にうた恋い。の影響を受けました。

2012/11/19


back



人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -