理不尽かもしれませんが(花承)
友人がむしゃくしゃする気持ちを承太郎にぶつけたいと言い出したので、代わりに花京院にやってもらおうという結論に至りました。(すでに理不尽)
そんなわけで、ちょっぴり?花京院が殴ってます。無理!という方はお逃げください。
花京院が承太郎を殴るのって、承太郎の考えを改めさせたいときだけだと思うんです…。
***
「…うわ」
蔑むような声色。
花京院は心も瞳も冷えきっていた。
静かに承太郎を見据える。
「それは、君なりの手加減?」
「……」
「なんでやり返さないんだい?」
握っていた手を開き、呆れたように顔の前で振って見せた。
顔に受けた衝撃は、承太郎にとっては軽いものだと思う。
喧嘩慣れしていない僕の拳は、承太郎の表情を変えるほどの力は持ち合わせていないようだ。
「何をやり返すってんだ」
「僕を殴り返さないのかってことさ」
「くだらねえ。てめーを殴っても何の得にもならねーだろうが」
最もな意見、正論である。
僕は一方的に彼を殴ったにすぎないのだ。
説得の言葉よりも拳を選んだのだ。
伝えたかった。
「君の言葉が、随分と嘘を含んでいたことにね、腹が立ってしまったんだ。隠し事をしないでほしい」
右手に残る痛々しい傷跡。
僕の偽物が付けたのかと思うと、余計に腹が立った。
制服のポケットに隠した彼の気遣いは、どこか距離を取っているようにも感じてしまった。
「君の優しさは、自己犠牲が付き物だから」
「…」
「無理しないでください。僕が言いたいのは、それです」
まだ僕らは、共に過ごした時間も、互いの気持ちをぶつけ合う方法も少ない。
今はまだ、全てを分かち合うのは大変かもしれない。
けど。
「君の傷を心配するくらいは、させてくれ」
「…俺を殴って傷付けたヤツの言うセリフか」
「僕が付けたならいいだろう?」
「理不尽なやろーだ」
わがままと、ちょっとした嫉妬。
僕のこの気持ちも、今は彼に話せそうにない。
***
要求に応えられてるかは謎ですが、ネタくれた友人ありがとう。