このままで。

Always been this way.

【企画】ああ、朗らかなるかな(花承)

アンケート企画にご協力ありがとうございました。
シチュエーションで一位に輝いたのは「どちらかがお酒に酔ってべろべろ且つラブラブなお話」でした!
こういう微笑ましいシチュ書きたかったんです!投票してくださった方、ありがとうございました。
どちらかが酔ってる、とのことでしたのでそれぞれ酔わせてみました。
勿論、本来は未成年者が飲酒なんてしちゃあいけませんよ。

・花京院が酔いました

「承太郎、もっとくれない?」
「やるかよ。てめー飲み過ぎだ。俺より飲んでるぜ」

二人で分けあっていた酒瓶を承太郎が奪い取った。
床に置かれた空の瓶は、最初は丁寧に並べられていたのに、もはや秩序を乱していた。
今の花京院のように。

「よし。ハイエロファントー、部屋の奥から取ってきてー」
「何がよしだ。やめろ」

奥へ向かっていったハイエロファントグリーンを、スタープラチナが制した。
抱えた腕から抜け出そうとハイエロファントはしばらく抵抗を続けたが、本体が力が抜け切るほどに潰れているせいか、そのうち逃げる素振りをやめた。
身体が動かないと分かると、今度は途端に口が動いた。

「やだ。もっと」
「寝ろ、ガキかてめー」
「眠くないよ…飲み足りない…」

承太郎の腕にしがみついて、いやいやと首を振る。
手の付けらない子供のよう。

「ねえ、僕が酔って困ることってあるかい?むしろ歓迎してほしいな」
「俺に都合のいいことなんてねーだろ」
「ほらー、たとえば、勢いで君を襲っちゃったりしてもいいじゃあないか」
「……酔ってるとはいえ、何言って…」

異論を唱えようとしたとき、既に花京院は承太郎の両手首を掴みにかかっていた。
振り払おうとしたが、動かない。
何故。
戸惑ううちにのしかかってくる花京院の向こうで、スタープラチナの腕を縛るハイエロファントの姿が見えた。

「動けないと思って、油断してたんでしょう?」
「……」
「あ、悔しがってるー」
「(反抗する気も起きん)」

それでも主導権を握られた悔しさからか、へらりとした表情を睨み付けた。
それにも関わらず、締りの無い顔は変わらない。

「ひょっとして喜んでる?」
「(駄目だこいつ酔いが本格化してやがる)」

この剣幕をどうやって喜んでいると解釈できるのか。
いつもなら、承太郎の機嫌を花京院はいち早く察知する。
特に悪いときは尚更だ。それなのに。

「実は楽しんでないかい?君がこうされるのって、滅多に無いもんねえ…ふふ」
「やめろ気持ち悪い」
「うん、変なことしか言えないから…黙ってするね」
「そういうことじゃな」

柔らかな口当たり。
さっき飲んでいた甘い味。
これだけで酔いそうだ。

***

花京院あざとい。いや普段もあざといので(勝手な脳内設定)あざとさが増すってとこでしょうか。
最初ちびちび、後半ぐびぐび飲んで潰れる花京院を難なく想像できます。
お酒の力で積極的になる花京院は、酔いが醒めてからしばらく振り返って悶絶してそうです。(うわああんなことしちゃったよ酔ってたとはいえうわあ)みたいな。普段から積極的になりたいとは思ってそうですけどねえ。
こういうお話書くと途端に原作ネタ入れたくなります(笑)


・承太郎が酔いました

「はああ…」
「はああ、じゃないよ。重いんだけど」

ソファに並んで腰掛けている二人。
滅多に拝めない承太郎の姿を、花京院はお世辞にも微笑ましいとは言えなかった。
肩に手を回され、加えて首筋にかかる熱っぽい吐息ときた。
酒臭い。
いつもの冷静沈着な姿とはかけ離れている。
スタープラチナはそんな彼に次々と酒瓶を手渡していた。
優秀なスタンドをこんなことのために使うなんて。
今の彼は、単に柄の悪い酔っぱらいだ。
呆れて横を向く。
すると、背後から影が伸びてくるのが見えた。
同時に覆い被さるような重量感。

「これが一番落ち着くぜ」
「はいはい、どうも」

軽く頭を撫でてやる。
嫌がることのほうが高確率なのに、今は気前好く撫でられている。
猫か君は。

「なあ、花京院」
「なんですか」
「ベッドまで運べ……」
「肩は貸すけど。まさか君を抱き上げろなんて言わないでくれよ」
「んだよ、つれねえな」

いつもつれないのはそちらだ、まったく。
出かかった言葉を飲み込む。
こんな状態の相手に言っても、酔いが醒めたら忘れてしまっているだろう。
振り回されるのは通常運転、妙に悔しい。

「世話を焼くのは慣れてるよ」
「頼もしい限りだぜ」

いつもより柔らかい笑顔。
ただそれだけに動揺して、思わず頬が赤らんだ。

「さ、さあ、ベッドに行くんだろう?立てる?」
「……手ェ貸せ」
「はいはい」

ソファに座る承太郎に腕を差し出した。
力なく起き上がった彼。
その腕を引く強さは想像以上で、引き上げるはずだった花京院は彼の上に倒れ込んだ。
もう一度立ち上がろうとした瞬間、掴まれたままの腕が引かれた。
その状況に混乱しているとわかる花京院の横顔に、承太郎はいたずらに唇を寄せた。
数秒、停止。
静かに唇を離すと、我に返った花京院はその表情ごと隠すように触れていた箇所に手を当てた。

「!!ちょ、っと、なんなんだい承太郎!!」
「ッ、ハハハ!!!」

なんて朗らかな笑い声だろう。
いつもより陽気な声。
悪い気はしなかった。

***

べろべろ…というには足りなかった…ですよねすみません。
承太郎は酔うとじゃれついてきそうです。でも場所と人によると思います。
普段人に隙を見せない承太郎の無防備さは萌えポイントです。個人的にですが。まあスタプラさんがいれば防御力最強ですけど。さすがにスタンド出せなくなるまでは酔わないかなと。

酔わずに強いお酒をわけあってる二人もいいと思います…。全然甘くないやつを…。

2013/05/13


back



人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -