近くて遠いひと(ジョル承)
いつか書くと友人に約束して書かずにいたジョル承。
ジョルノは相当承太郎を気に入ってそう。
***
「承太郎さんは、僕の名前を言えますよね」
実に楽しそうに、少年は尋ねた。
意図が掴めず、承太郎は首を傾げた。
「当たり前だろう、ジョルノ」
「違います。初流乃のほうです」
「…は?」
その「は」の響きが、懐かしいとさえ思える。
「僕がジョルノを名乗ることになった経緯もご存知なのでしょう?誰も、僕の元の名を呼んでくれない、呼べないんですよ」
「まあな」
「だけどあなたは出来る」
ずい、と距離を詰める。
全く動じない彼はやはりどこか自分と似ている気がした。
「…呼ぶだけで良いのか」
「もっとしてくれるんですか?」
「それ相応のお返しをくれるなら、考えても良いがな…初流乃」
じんわりと、彼の声が沁みた。
ぽん、と頭に置かれた手は、髪型は崩さぬように加減をしている。
幼い日の思い出に、これほど優しさが溢れている時があっただろうか。
その瞳まで、慈愛に満ちている。
「子供扱いは嫌です」
「我が儘を言っているくせにか」
「…これは、あなたへだけの甘えですよ?」
ふ、と大人びた笑みを見せると、やれやれ、と溜め息をつかれた。
「甘え、か」
「ちゃんと我慢だって出来ます」
「大人ぶる子供は嫌いじゃあねえな」
やはりまだ対等には見てくれないのだと教えられる。
頂点に立った自分が、この人にはまだまだ遠く及ばないのだ。
***
安定のオチ不明。
ジョル承、かなり妄想の余地ありますね…恥パあたりとか結構おいしいと思います。
2012/09/29