このままで。

Always been this way.

【企画】棘(花承)

シチュエーション二位は同率で二つ、うち一つは「クールドM攻め」でした。
意外ッ!それはM攻めッ!受け攻め診断の結果からリクエストくださったとのことですが、結果としてM攻め好きな方は多いのですね。しかしクールドMって難易度高くないか花京院ステータス高くないか。
コメントをいただいたので、M院×S太郎に挑戦です。学生生活送ってる設定です。

***

事の発端は、花京院が耳に挟んだ噂話。
『承太郎に下僕ができた』
まあ、僕と承太郎はしょっちゅう一緒にいるし、どう考えても僕は承太郎みたいに喧嘩の腕っ節も無いから、そう思われたんだろうけど。
心外だ。僕は誰かの下に付こうなんて考えない。
当然二人の間に主従関係なんて無い。
下手をすれば僕の方が上だ。
位置的に、うん。
そんな噂を、知った本人が一番興味を示したのだ。

「下僕としてのてめーも欲しい、と思った。それが全てだぜ」
「軽く最低なこと言ってるよ、君。で、どうして人に見られてるかもしれないこんなところで、お願いされなくちゃあならないのかな」
「さすがに来ねえだろ」

昼休み、屋上、喧嘩。なんてベタだけど、そんなことより。
この状況はおかしい。
いつかの記憶にあるような、僕を覗き込むその顔は、真剣だったのに。
今は、真面目なのかふざけているのかわからない。
手首を掴む力が、明らかに抵抗を許さんとしていた。

「痛いって言ってもいいぜ?やめねーけどな」
「嫌だね。負けを認めさせたいんだろ。なら尚更、だ」
「まあ、そうじゃねえと張り合いがねーぜ」

ここで余裕の笑みを浮かべられたら良かったが、正直なところ、苦笑いがやっとなほどの痛み。
だが、それを喜ぶ気持ちがある。
最近感じなくなっていた、気持ちの昂り。
そして、今この状況だからこその、彼を独占出来ている満足感があった。
動きが無いことを焦れったく思ったのだろう、承太郎は更に力を込めた。
力で勝負なんて理不尽な気もする、いや、どう考えても理不尽だ。
く、と一瞬歪めた表情。
少しだけ、承太郎の目が笑った。
蔑んでいるのか、抵抗する様を楽しんでいるのか。
それすらも自分に向けられたものであることが確かで、たまらない。

「僕は、折れないんだけど。このままどうするんだい」
「…なら。たまには、こういう刺激があってもいいだろ」
「って、ちょっと…!」

全く抵抗無く、彼はこちらのベルトに手をかける。
慌てて手を引き離そうとすると、不満そうな表情がこちらを見る。
ふと目の前から彼が失せた。立ち上がり、小さくため息。
それを見て何故か、胸に、ちくりと棘でも刺さったように感じた。

「…場所移すか」

やれやれ、とお決まりのセリフを吐きながら、何故か承太郎は花京院を抱き上げた。

「待て、待ってくれ、今昼休みだぞ、正気かい」
「お前、無意識か」
「え」

承太郎の肩の向こうに、本体である僕らと同じ体勢をしたスタンド達がいた。
ハイエロファントグリーンは、抱き上げているスタープラチナの腕から肩へ、そして胸、さらに腰へと、自身の触手を伸ばしていた。
離れる気など、ないと言わんばかり。

「そういうことだろ?扉の目の前だしな、反対に回れば見られるこたあねーだろ」
「…仕方ないな。というか、いいのかい?」
「…どうでもいい。おめーだけ見ていられれば」

そうだ。
僕だって、君には僕だけを見ていてほしいと、そう思っていたから。
喧嘩腰でも、僕を見てくれているだけで嬉しかった。
ああ、余計に、君を感じたい。

***

攻め描写0ですね。かろうじて自分が上だと主張してるくらいで。
花京院が生き延びた設定。旅が終わってからの生活では、常に近かった二人の距離が微妙に変わっているかも。もし付き合っているとしても、三部本編の時とは関係も気持ちも一緒とは限らないかなと。戦いを念頭に置かないせいで緊張感が無い分、より一層の相手への恋慕か、逆に倦怠感が生まれるかなと。

今まで書いてた二人と真逆で花承じゃないみたいでした。正確には、いつも私の書いてる花承じゃない。Sっぽい承太郎なんてほぼ書いてない。
平和でイチャイチャな花承じゃなく、少し一癖ある花承も良いですね!

2013/10/25


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