このままで。

Always been this way.

We're All Alone(フーゴ)

タイトルはボズ・スキャッグスの曲から

***

夕暮れの中、家路に就く。
歩く度、フーゴの腕の中のラベンダーが揺れる。
辺りからは、明日も遊ぼうと約束する子供たちの声が聞こえる。
彼らもまた、これから家に向かうのだろう。
そして、家で待つ母におかえりと迎え入れられ、子供は夕飯は何かと尋ねるのだろう。
人は今日も、誰かと今日の別れを告げ、誰かの待つ家に帰る。

今、思う。僕は一人だ。
あの日から消えない、遠のいていく仲間たちの背中。
次第に靄がかかる他の記憶の中で、いつまでも鮮明だった。
河岸に残った僕。
自分を守ろうと逃げた僕。
一人、彼らに別れを告げた僕。
あの日別れを告げてから、家に着いても『おかえり』の声はない。
「…ただいま」
苛つきが、照明を乱暴に点ける動作に出ていた。

ラベンダーを花瓶に生ける頃には、夕陽は沈みきっていた。
赤かった空は、青と黒を含んで、紫がかった黒に変わった。
開いたままの窓からは、路地を挟んだ向こうの家々の明かりが見える。
家族の団欒。
恋人たちの笑顔。
友人を招いての下らない雑談。
あの明かりの中で、孤独に過ごしている人がどれだけいるのだろうか?
いつの間にか冷え込んだ外の空気に気付いて、フーゴは窓を閉める。
閉ざされた部屋に、テーブルに置かれたラベンダーの香りが満ちていく。
それを独り占めしようと、深く息を吸い込んだ。

僕は、たまにだが、自分は一人じゃあないんだと思う時がある。
例えばスタンド。
パープルヘイズは、常に僕と共にある。
そう考えると僕は一人じゃない。
哲学的な話は向いていない僕だけど、孤独は科学的に証明されるものでもないのだし、考え方なんて自由だ。
仲間と過ごしている時、こんなことを考えるために時間を使った記憶はない。
彼らは今も、そんなことに時間なぞ費やしていないだろう。

今日、帰り道にある花屋でラベンダーをくれた顔に傷のある少女。
『心配してくれる人がいなくても、花が咲いているなら平気だ』と言っていた。

今、僕は一人だと言ったら、あの少女は怒るだろうか。
部屋には僕だけ。
ラベンダーと、僕だけ。

***

フーゴさん難しい!
友人にリクエスト聞いて書きました
ホワイトデーとうに過ぎた上、こんなのしか書けなくてすみませんでした…
情景の描写力が無さすぎて泣けます
ラベンダーはなんとなく出しました
花言葉は「疑惑」

あとタイトルの曲は大人の恋愛の歌です
私の尊敬するアンジェラ・アキがカバーしてます

2012/03/18


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