このままで。

Always been this way.

ぬくぬく(承太郎)

麗華さんより「承太郎とこたつでSSS」との指令を受けました
後半は花承です
モブキャラ出てきます

***

一段と冷え込むこんな日は、ぬくもりを感じたくなる。
……こたつで。

「…ふう」

冷えきった体は、こたつのなかでじんわりとほぐされる。
ゆっくりと背中側に体を倒すと、暖色系の蛍光灯の光が部屋全体を柔らかに照らしている。
さっきまでの張り詰めた緊張感と冷たさを、忘れさせる。
そのせいか、承太郎は眠気に襲われた。



「…どけ」
「そうはいかねえな、」

寒空の下、帰り道を塞いだ男。
気に食わないヤツは暴力で黙らせる、力だけを誇る不良。
その凶暴性を、近所の学生なら知らないものはいない。
承太郎にとって、最も嫌いな人間像のひとつ。
そいつに声を掛けられた。

「タッパはあるじゃあねーか。やりがいがありそうだぜぇ」
「つまり、てめーはいつも背の低い非力そうなヤツをいたぶっては楽しんでたわけか」
「んだとゴルァア!」

おそらく2メートルはあるであろう相手が殴りかかる。
その瞬間から、承太郎が身をかわし右ストレートが顔面に決まるまで、約2秒。
その後、相手が承太郎に反撃を試みるも、最終的に諦めて逃げるまで約5分。

(…やれやれだぜ)

冷たい風と、手に残る感触に余計に苛立ちながら歩くこと8分。
それから、家に着いて、こたつに入って…。



目が覚めた。
直接目に入った灯りが眩しくて、承太郎は顔を右に向けた。
すると、眼前にあったのは花京院の顔。

「!?」
「あ、起きた」

さも当たり前のように、承太郎の寝ている姿を鏡写しにした体勢。
前髪が見事に目元を隠しモザイクになっている。
目が完全に合うことになっていたならば、驚きと恥ずかしさでのけ反ったかもしれない。
いや、今の前髪モザイクも違う意味でのけ反りそうだが。

「…いつ帰ってたんだ」
「ついさっき」

ついさっき。
それが本当だとして、じっくりと寝顔を見られていたというのは。
そして、それを見ながら微笑む花京院の顔がすぐに浮かぶのだから。
…だんだん、体が火照ってきたような気がする。
向かい合って横になっていた状態から、承太郎は体を起こした。
そして手で目元を覆うと、肌とは質感の違うものに触れた。

「あ、君の左目の下に擦り傷があったから、絆創膏貼っておいたよ」
「…」
「起こしちゃうかと思ったよ。随分疲れてたみたいだね」

そう言って花京院も起き上がる。
そして、その手は承太郎の絆創膏に触れた。

冷えた体も、疲れた心も、この部屋いっぱいの暖かさに包まれて、すでに回復は十分。
しかし、言葉にするのが面倒で、承太郎は花京院に抱き付いた。

(…一緒に、暖まれば良い)

***

こんな感じで…良いんですか、麗華さん!?
麗華さんのみ、煮るなり焼くなりお好きにどうぞ

なんかね、書いてたらスイッチ入りました
自分でもなんでこんなに長いんだとツッコみたい

ネタ提供ありがとうございました!

2012/02/02


back



×
「#幼馴染」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -