雨模様 | ナノ
第34話
渡されたハンター証を見て小さくため息を吐く。お金を持って帰れば、多分義父は仕事を辞めて家族と共に一生遊んで暮らすだろう。当たり前だけどその家族の中に私は含まれていない。
「ギタラクル」
自分が呼ばれたわけでもないのに、ゴンの強い声ではっと我に帰った。
「キルアの行った場所を教えてもらう」
「やめた方がいいと思うよ」
「誰がやめるもんか。キルアはオレの友達だ!絶対に連れ戻す!」
「後ろの2人も同じかい?」
「当然よ」
ゴンたちはキルアを連れ戻すためにキルアの自宅まで行くようだ。出来るなら私も同行したい。あんな別れ方のまま一生会えなくなるなんて絶対に嫌だ。
「君は?」
「えっ」
突然ギタラクルに話を振られ、間の抜けた声を出してしまった。気が付くとギタラクルだけじゃなくてゴンたちもこちらを見ている。行きたい…けど…良いのかな…そんなことを考えながら三人を見ると揃って頷いてくれた。それだけのことなのにすごく嬉しかった。
キルア、私キルアを探しに行くよ。キルアはそんなことしなくていいって言うかもしれないけど、私の今後は私が選んで良いんだよね。
「わ、私も…行く」
「いいだろう。教えたところでどうせたどりつけないし。キルは自宅に戻っているはずだ。ククルーマウンテン。この頂上にオレ達一族の棲み家がある」
こんなにあっさりキルアの居場所を教えてくれると思っていなかったから拍子抜けしてしまった。キルア、やっぱり自宅に帰ってるんだ。
「ハルが行くって言ってくれて良かった」
「…め、迷惑…かけたらごめん」
「迷惑なんて思わないよ!!」
「あ、りがと…」
ゴンにお礼を言ってふと気が付いた。
そういえばさっきヒソカに庇って貰ったんだった。何か理由があったにせよ善意に対しては御礼だけは言っておかないといけない。もう二度と会うこともないだろうし、今のうちに済ませよう。
ゴンたちは一回戦でキルアと戦った帽子の人と何やら話し始めてまだここを動く気配はなさそうだったからこっそりその場を離れてヒソカを探しに行った。
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