日常 | ナノ
46日目(水曜日)

坂田さんの記憶は1日経っても戻らず、今日から今までの坂田さんではなく、新しい坂田さんとして生活を始めることにしたらしい。午前中にコンビニを訪れたNEW坂田さんが自ら話してくれた。「過去の僕との思い出が沢山あるあの人たちと話してると過去の自分との違いを思い知らされて、少し苦しいんです」としょんぼりした様子で話す坂田さんは確かに私の知る坂田さんとは別人のようだった。

知人というには距離が遠い私くらいの関係の方が話しやすいのか、坂田さんは事あるごとにコンビニを訪れた。早速今日からどこかの工場で働き始めたらしい。「僕の新しい友達です」と笑顔で語った坂田さんの隣にいたのは、どう見ても近藤さんと山崎さんだった。多分2人とも以前からの知り合いだと思いますよ…と告げるべきか悩んだが、山崎さんがめちゃくちゃ気まずそうな顔をしていたからやめておいた。

私と坂田さんは知己の間柄でもないし新しい関係を築き直すことも難しくないけど、神楽ちゃんや新八くんは今の状況をどう思っているんだろう。あんなに慕っていたんだ。きっと坂田さんの選択を受け入れられてないんじゃないか…もしかしたら、今も尚万事屋で「いつもの坂田さん」が戻ってくるのを待っているんじゃないか。

そんな神楽ちゃんと新八くんを想像したらじっとしていられなくて、バイト帰りに酢昆布を大量に購入し、万事屋の玄関に置いておいた。そういえば道中で出食わした沖田に事情を聞かれたのでありのままを答えたら「暇人」と鼻で笑われたのがムカついた。お前の方が!!暇人だろ!!!とは言えなかったのでここに書いておこう。ストレス発散だ。

2人のためにも、早く坂田さんの記憶が戻るといいな。明日バイト休みだし、万事屋に顔出しに行こ。




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