ごみ箱 | ナノ
人を殺すのに抵抗を覚えなくなったのはいつからだろう。…あ、そんなもの最初からなかったか。普通の家庭に生まれ育ったはずなのに私は昔から少し…いや、かなりズレていた。

「それ誰の血?」

「さあ。私のじゃないことだけは確かですけど」

「なんでお前いつもそんな返り血浴びんの?」

「返り血は勲章ですから」

これを言うとバカにされるからあまり言わないようにしてるけど、実は私は匣の扱いがかなり下手くそだ。だから匣を使った戦いが主流の今もまだ接近戦で戦っている。それが返り血を浴びる理由の1つだろう。

「ししっ、お前やっぱ頭おかしいな」

「えええ…!今の流れの中で何かおかしい部分ありましたか!?」

「それよりこの任務の報告書お前書いとけよ」

「それより!?私にとっては結構重要なこと…って、嫌ですよ!それベル先輩の仕事じゃないですか…。面倒なこと全部押し付けるのやめ」

全て言い終える前に私の頬をナイフが掠る。喋ることに集中していた私は全く避けることが出来なくて、ただポカンとしていただけだ。それなのにこうやって生きているということは、ベル先輩も疲れが溜まっているのかもしれない。

「断ったらサボテンな」

「…脅すなんて卑怯だと思います」

「それだけじゃないぜ。後ろ見てみろよ」

「え?……あ」

振り返ると男がナイフを構えた状態で息絶えていた。うわあああ。危うく殺されるところだったよ…運良いな私。この人にとってはとんでもない不運だけど。

「お前喋ってるとき無防備すぎ。もう任務中は喋んねー方が良いかもな」

「…だったら話し掛けてこないでくださいよ」

「は?お前王子に命令すんのかよ」

「何をどう聞けば今のが命令に聞こえるのか不思議で仕方ありません」

やれやれと言った風に首を振る。やっぱり私と堕王子は合わない。ていうかもうこの人めんどくさい。あーあ。突然変異で波動変わんないかなあ。

「でもなんだかんだで命救って貰っちゃったんですねー。大嫌いな堕王子に」

「今の話の中からどうしてそこを抜粋すんの!?確かに結果的にはそうかもしれないけど…」

フランに今日のことを愚痴っていたら、そうまとめられてしまった。あれは私を助けたんじゃなくてナイフを投げたらたまたま当たっただけだと思う。だってあの人が私を助けるとか有り得ないでしょ。

「あの人私を助けたかったわけじゃないと思うよ。だって隙あらば私を殺そうとしてるし」

「…あ、今ミー全部わかっちゃいましたー」

「全部わかった…?なにが?」

フランはわざとらしく手を打ちながらそう言った。多分漫画だったらぴこーんと頭に電球が出ているだろう。

「ベル先輩は好きな人は自分の手で殺したいっていう子供じみた独占欲の持ち主なんですよー」

「…は?」

「だからいつも渚の命を狙ってるし、誰かに殺されそうになればさりげなく守ってあげるんですよー。どうですかーミーの推理ー。我ながら天さ…?」

「〜〜〜っ」

「どーしましたー?そんな小刻みに震えて」

「…有り得ない!バカだ!やっぱあんた絶対バカだ!」

「うわー最悪だー渚にバカ呼ばわりされるとかおしまいだー」

「どういう意味だそれは!!!」

「ゔお゙ぉ゙ぉい!うるせーぞぉ!くだらねーこと話してる暇があんなら早く報告書あげろ!」

スクアーロ隊長に怒鳴られてしまったがそんなこと気にしない。ていうか、ほんと…何言ってるのフラン。根拠のない話だってわかってるけどそんなこと聞いたらもうベル先輩の暗殺計画なんて立てられないじゃんかバカあああ!

暗殺計画2
(報告書書けたか?)
(ベベベベル先輩…!)
(何そんな吃ってんの?)


続き読みたいですと言ってくれた方がいたので書いてみました…!こんな感じでだんだんベルと仲良くなってくれれば良いな…。



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