ごみ箱 | ナノ
腹減った。喉乾いた。どうしよう。コンビニ寄って何か買おうかな。あーでもそれすらもめんどくさい。つーか眠いな。まだ家まで距離あるしどっかで寝てから帰ろうかな。タダクニの家こっから近いし寄ってこうかな。そんなことを考えながら家路を歩いていたら、女の子に呼び止められた。

「…佐原さん」

「あ、タダクニの妹」

「ちょっと良いですか」

「うん良いよ。なに?」

タダクニの妹に着いていくと、公園に到着した。木の上に鞄が乗っている。…なんか前もこんなことあったな。ヒデノリとモトハルとタダクニの妹の鞄が木の上に乗ってて、それを落としてやったんだっけ。…頼むから学習してくれよ、タダクニ妹。

「で、これを落とせと?」

「……お願いします」

「別に良いけど…見返りは?」

「友達の妹から見返り要求すんのかよ!」

タダクニの妹はヒデノリやヨシタケにはタメ口なくせに何故か俺には敬語で話す。それが咄嗟に外れたということは心底驚いているんだろう。

俺はそんなタダクニ妹の肩をポンっと叩いて、にっこり笑った。

「あのなタダクニ妹。この世はギブアンドテイクで成り立ってるんだよ」

「…じゃあそこのコンビニでなんか奢りますよ。財布鞄の中なんで前払いは出来ませんけど」

「よし来た…!絶対落としてやるから待ってろタダクニ妹!」

俄然やる気が出てきた。狙いを定めて自分の鞄をタダクニ妹の鞄にぶつける。ヒデノリたちはこれで自分のも乗っちゃったみたいだけど、俺はそんなヘマはしない。コンビニのために…!

「はい当たったー!タダクニ妹走れ!キャッチだ!俺の鞄を!」

「なんであたしの鞄は放置なんだ!」

タダクニ妹はそう叫びながら思いきり蹴りを入れてきた。予想していなかった攻撃に完全に無防備だった俺の身体は物凄い勢いで吹っ飛んだ。

俺はズザアアアと顔面からスライディングして、背中の上に鞄が2つ落ちてきた。…タダクニ妹。お前は少し兄を見習え。ツッコミは口でするもんなんだよ…!

「…ありがとうございます」

「いやそこはごめんなさいだろ。背中蹴られたショックで鞄落としたことなんて忘れたわ。ほら謝って。早く」

「佐原さんて大人げないですね」

「恩を仇で返すやつに言われたくないんだけどな…」

それから俺たちはコンビニに向かった。結局タダクニ妹は謝る気がないようだから、がっつり奢らせようと思う。

「で、何食べますか」

「肉まんとお茶とポテト」

「ちょっとは遠慮してください」

「謝らなかったお前が悪い。はい、これ茶。あとレジで買えるから買ってきて」

にっこり笑ってタダクニ妹の背中を押す。年下の女子高生に奢らせるなんて最低だってことは自覚しているけど、まあ人間なんて基本皆最低だし気にしないことにしよう。

コンビニ前で待機していると、タダクニ妹がレジ袋を提げて店から出てきた。そして俺に向かって乱暴にそれを差し出す。

「見損ないました。最低です」

「まあそう言うなって。ほら、肉まん半分やるから。熱いから気をつけて」

「………」

タダクニ妹に肉まんを差し出すと、少し不満げにそれを受け取った。

「ところでタダクニ妹。今から家行っていいか?」

「…なんでですか」

「めーちゃんともっと一緒にいたくて。…駄目、かな?」

「な…!」

「お、赤くなった!照れてる?」

「!、別に照れてないですけど」

「嘘だー、顔真っ赤だよ?…いやあ、めーちゃんってただの凶女かと思ってたけど意外と可愛いところもあ」

「死ねェェェ!」

ぶん殴られた。な…なんで…!?俺そんなに嫌なこと言ってないよな!?急に告白して来たり殴って来たり、やっぱり俺には女の子がよくわからない。…男子校にして正解だったな。共学だったらどうなっていたことか。

「…冗談じゃん。殴んなよ」

「…ほんとそういうのやめて貰えますか。次言ったらぶん殴りますから」

「もう殴っただろ!?」

「で、何しに来るんですか」

「…ああそこは無視なんだ。まあいいや…寝床提供してよ」

「…好きにしてください」

タダクニの妹から無事許可を得たので、早速タダクニ家に向かうことにした。あーやっと寝れる。

家族間交流
(ポテト食べないんですか)
(タダクニへの土産だからな)
(…せめて自分で食べてください)


何がしたかったかというと、タダクニ妹と戯れたかっただけです。楽しかった…!アニメは終わってしまいましたが、私の中ではまだまだ熱いです。



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