ごみ箱 | ナノ
いつものようにむさ苦しい環境の中でつまらない授業を終えて、今は暇をもて余していたヒデノリとヨシタケの三人で俺の家でダラダラしている。
「なあ、見ろよこれ」
三人で何をするでもなく各々好きなことをしていると、雑誌を読んでいたヨシタケが俺たちにそれを見せてきた。
「今週の乙女座、恋愛運絶好調だってよ。意外な誰かから告白されるかも…って書いてあるぜ」
「有り得ないだろ。俺は信じないなー、そういうのは」
恋愛運絶好調。意外な誰かからの告白。ぼんやりとその言葉を反芻していたら、不意に昨日の出来事を思い出した。
「へー…占いって当たるんだ」
「ああ、なんだかんだバカに出来な…って、え?」
「…お前まさかまた告白されたんじゃねーだろうな」
「まあ、うん。された」
肯定すると、二人は突然立ち上がった。ヒデノリは俺をビシっと指差し、ヨシタケは持っていた雑誌を引きちぎる。ヨシタケ、お前はその握力を何か他のことに活かせ。
「…えーと、急に何?」
「なんでいつもお前なんだよ!確かに顔は整っていないこともないかもしんねーけど!」
「お前なんてただの自堕落人間じゃねーか!」
「(なんでこんな貶されてんの俺)」
この二人の思考回路は未だによくわかんねえ。はぁ…タダクニ…なんでお前いないんだよ。バイトなのはわかってるけど、俺と一番波長が合うのはお前なんだからどうにかして今すぐここに来てくれ。お願い。ポテトやるから。
「で、今度はどこの誰だよ!」
「別にどうでも良いだろ…」
「良いわけねーだろ!言うまで部屋出さねーからな!」
「いや、ここ俺の部屋なんだけど」
「だったら俺らが出てかない!」
「ここで一生を終えてやる!」
「…あーもーわかった。言うから」
まず、その剥き出しの敵意をしまってほしい。なんで告白された位で犯罪者を見るような目で見られなきゃならないんだ。余計なこと言わなきゃ良かった。
とりあえず二人に座るよう促して、二人が座ったのを確認してから口を開いた。
「こないだタダクニとファミレス行ったんだけどさ、そこで店員に水溢されたんだよ。いや、勿論相手に悪気はねーだろうけど制服びしょ濡れになっちゃって。まあ所詮水だしすぐ乾くからいっかーって思ってたら、店員がすげー必死に謝ってくれてさ。全然怒ってなかったから普通に"大丈夫ですよ"って答えたんだよ。そしたら昨日ファミレスの前通ったときに告られた」
ばーっと話し終えて二人の様子を窺うと、納得いかないのかなんとも言えない複雑な表情をしていた。
「お前他にも何かやっただろ」
「は?何もしてねーよ」
「とぼけてんじゃねーぞ、この天然タラシ!それだけのことで女の子が落ちるわけねーだろーが!」
「もっと良く考えろ!」
「なんなんだよお前ら…」
仕方ないから昨日の出来事をもっとよく考えることにした。えーと、あの時は確かすげー遠くまで水飛んじゃってタダクニの制服も若干濡れてたんだよな。……あ、そうだ。思い出した。
「…大した事じゃねーけど、あの時俺だけじゃなくて店員も結構濡れちゃってさ。店員の顔に水滴が跳ねてたからたまたま持ってたハンカチで拭き取ってやった」
再び二人の反応を窺うと、二人は揃って俯いてわなわなと身体を震わせていた。そして又しても同時に立ち上がり、今度は揃って俺を指差した。
「お前どんだけかっこいーんだよ!そりゃ惚れるわ!んなことやられたら俺だって惚れるわ!」
「だから天然タラシは嫌なんだよ!よく大した事じゃないなんて前置き出来たな!この裏切者がァァァ!」
「はあ!?意味わかんねーよ!」
それから何故か俺は二人に一発ずつ殴られた。正直かなり痛かったけどどうやら俺が悪いらしいのでやり返さないでおいた。
天然タラシ
(つーかファミレス誘えよ!)
(俺はタダクニと行きたかったんだよ)
(…お前どんだけタダクニ好きなんだ!)
アニメを見ていたらどうしても書きたくなったのでここにこっそり更新。男子高校生の日常はこの男主で固定です。なのでちょっとだけ夢主紹介。彼は正統派イケメンです。かなりの自堕落人間で三度の飯より睡眠が好き。寝相が悪くてすぐ寝癖がつくから髪は短め。
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