ごみ箱 | ナノ
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自主練に付き合えとうるさい降谷に根負けして、本気で投げないということを条件にキャッチボールをしていた時のこと。

「佐原彼女できたの?」

野球、天気、空腹ぐらいしかレパートリーがないようなやつに意外な話題を振られ、驚いて球を捕り零しそうになった。

「それどこ情報?」

「言わない」

「お前なあ…」

降谷にテキトーなこと吹き込んだのは一体どこのどいつだ。こいつとこの手の話題したくねーんだけど…

「できてねーよ。部活に必死すぎてそれどころじゃねーだろ」

「…じゃあ部活がなくなったら作るの?」

いつもと同じ表情すぎて、何の意図があって聞いているのかさっぱりわからない。まずこいつが他人の色恋沙汰に関心を持てたことにビックリだ。

「相手がいればな!」

「ふーん」

はぁ…本当人の気も知らないで勝手なやつだよな…。俺がそうなりたいと望んでるのはお前なんだよ…墓場まで持ってくけどな。あー虚しい。

「僕も付きあってみたい」

「へーお前もそういうこと思うんだ」

あーあーこいつもついに色恋沙汰に関心持ち始めたのかよ。作ろうと思えば彼女の1人や2人、すぐできそうだもんな。俺もお前なら自信持って勧められるよ。

「まぁお前ならすぐできるだろ」

「本当?じゃあ僕と付き合って」

「は?!俺?!なんで?!」

予想だにしない言葉に理解が追いつかない。お前の中に俺と付き合う選択肢あんの?!なんで?!一体こいつの脳内で何がどうなってそんなことに?!

「僕、君のこと好きだよ」

「っ、っ、お、おまえ…それは…あれだろ…なんか…好きの種類を履き違えてるだろ…」

死ぬかと思った。死ぬかと思った…!!真剣な顔で夢にまで見たセリフを言われて顔が真っ赤になるのを止められない。

「そんなことない…と思う…多分」

「自信なさすぎだろ…勘違いだよ」

「ていうか佐原…引かないの?」

「は?引くってなにが」

キョトンと首をかしげる降谷の可愛さに内心で悶えつつ、それを隠すために眉間にシワを寄せて質問を返す。

「男に…しかも僕に告白されてるのに顔真っ赤。それじゃあまるで佐原が僕のこと好」

「ばっっ!!やめろ!!言うな!!!」

慌てて距離を詰めて降谷を突き飛ばす。最悪だ。そうだ…そうだよな。友達から真面目に告白されたらまずはネタだと思って笑い飛ばすよな。すんなり受け入れて、こんなに動揺して、挙句顔を赤らめたらどんなに鈍いやつにだってバレるよな。……最悪だ。

「佐原、僕のこと好きだったの?」

「…うるせー忘れろ。何も望んでない」

「ねえ、僕も佐原のこと」

「お前のは多分だろ。一緒にすんな」

はあぁ…どこまで歩み寄ろうとしてくるんだよ。変に期待するからやめてほしい。ていうかそもそも俺はこいつとどうにかなりたいなんて思っていない。

「じゃあ確かめさせて」

「…はあ?どうやって」

「キスさせて。いいよね?」

ノート見せてと同じくらいのテンションでとんでもないことを言い出す降谷。意味を理解すると同時に再び顔が熱をもつ。いいよね?じゃねーよ!

「っ、そ、んな気軽な感じでできるかバカ!!」

こっちが今までどんな思いで隠してきたと思ってるんだ。それをこいつはいとも簡単に…普通のことのように受け入れやがって。キス?ふざけんな!そんなの、妄想の中だけで十分だ。

「真剣にならいいの?」

「っ、いや、」

のほほんとした表情が一転して引き締まる。その目の奥に微かな欲を見つけてしまって、それがマウンドに立つこいつの姿と重なって…それがまた悔しいくらいに格好良くて。思わず見惚れてしまった。くっそ、…くっそ!!

「佐原」

「っっ、ふ、ざけんな!」

降谷の手が肩に乗った時点でハッと我に帰る。すぐそこまで迫っていた降谷を慌てて突き飛ばして寮に向かって走り出した。何か言ってるみたいだけど知るか!

「今日は解散!!お前は頭冷やせ!」

ああ、もう。天然相手に何浮かれてんだ。あいつの言葉に深い意味なんてないんだから期待すんな…!

好きかもなんて
((軽々しく言うんじゃねーよ…))
(佐原すげー機嫌悪くね?お前何かした?)
(…する前に逃げられました)


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ifです。連載主と降谷ですが、連載とはきっぱり離して考えてくださいね。無関係です。今回頂いたリクエストは全部相手が降谷だったんですよね。降谷×連載主需要があるのか?




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