ごみ箱 | ナノ
S級犯罪者をやっていると賞金稼ぎとやらに狙われることも少なくない。先程も何百人もの集団に突然襲われて交戦していた。デイダラが「右半分はオイラがやる」とかなんとか言って勝手に爆撃を開始しやがったから、俺は左半分を仕留めることになった。

落ち合う場所は少し離れたところにある大木の下。この辺りは木が密集しているがまず間違えることはないだろう。目印もあるしな。

「…遅ェ」

俺がそこに到着してからそろそろ5分が経つ。一向に鳴り止まない爆発音を聞きながら、俺は苛立ちを募らせていた。デイダラのやついつまでやってやがんだ。派手さばかりを求めるからこんなに時間がかかんだよ。

ぽつりと呟くと目印が身動いだ。目印は人間の女。木の幹に寄り掛かり、すやすやと寝息を立てている。今はまだ朝靄がかかる時間帯。この深い森の中、こいつの存在は明らかに異質だった。しかも燃えるような深紅の髪のせいで遠くからでも嫌でも目につく。

「…んー」

この女をこのまま放置すれば、恐らくこの辺りを縄張りにしている盗賊に襲われるだろう。別にこの女がどうなろうと知ったことではないが、何もせずデイダラを待つのも時間の無駄だ。…暇潰しに起こすか。

ヒルコの尾をそーっと女に近づけていく。あと数センチ。それで女の頬を軽く叩こうとした瞬間、女がパチリと目を開けて腕で自らの顔をガードした。

「…!」

「痛…っ」

その行動と共に俺に向けられた僅かな殺気に反応して、女の腕に尾を突き刺していた。尾には致死毒が塗ってある。直に身体が痺れ、動かなくなるだろう。

「な…に…?」

そう言った女の目にはもう殺気は含まれていない。女は俺の姿を確認するなり、目を見開いて少し後ずさった。

「その姿…」

「………」

「何者ですか…?」

もうそろそろ毒が全身に回り始めるはずだが、女に苦しんでいる気配はない。寧ろ目覚めた時よりも意識がはっきりしてきたようだ。…もしかしてこいつ、毒が効かないのか…?それか俺の目を盗んで解毒剤を…?いや、それはない。何の毒かもわからないのに解毒剤を作れるはずがない。

…待て。こいつがどこかの里のスパイで、俺がどんな毒を持っているか事前にリサーチしていたとしたらどうだ?俺がここを通ることも予め知っていて、さも偶然を装ってここで眠っていた。俺が起こさなかったら自分で目覚めるつもりだったのかもしれない。

「(…殺っとくか)」

「旦那、随分早かったな」

スパイ説に確信があるわけではないが、とりあえず殺しておけば何の問題もない。そう考えて行動に移そうとした瞬間、デイダラが戻ってきた。

少女A
(じゃなくてお前が遅すぎんだよ)
(それより旦那。そいつ誰だ、うん?)
(…俺が知るか。こいつに聞け)


NARUTOでは芸術コンビとイタチと白が好きです。好きになるのは大体敵キャラなんです。この設定は考えた記憶が殆ど無いくらい昔に考えたものです。きっと当時の私は謎が多い主人公を書きたかったんでしょうね…。今の私だったら考えられない設定だったので、それを基にしてお話にしてみました。



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