ごみ箱 | ナノ
夏休み明けに席替えを行った。席替えの方法は各自1枚ずつくじを引いてそのくじに書かれた番号と黒板に書かれた番号とを照らし合わせてその番号と同じ席に座るというかなりベタなものだ。
「な…!一番前…!」
私のところにくじが来る前に教壇の目の前の席が埋まれば良いのになー…なんて思いながら待っているとムードメーカーの沢村君ががたっと立ち上がってそう叫んだ。
「残念だったな」
「頼む!代わってくれ!」
「代わるわけねーだろ!」
沢村君は泣きながら金丸君にお願いしているけど一蹴されてしまった。可哀想に。まあ私が金丸君の立場でも絶対代わらないだろうけど。
「やった!私今の渚の席だ!」
「あんまり今と変わらないね」
「移動楽で良いじゃん!渚は?」
「私はねー…」
回って来たくじを開き、黒板の数字と照らし合わせる。
「渚!?」
自分がどこの席か理解したのと同時に机に思いきり突っ伏した。勢いを付けすぎたせいでおでこが痛い。
「大丈夫?!」
「……いたい」
「そりゃそうだよ!なに?もしかしてかなり悪い席だったの?」
「教壇の目の前だった」
「……なんとかなるよ」
痛むおでこを擦りながら真顔で席を告げると、友人は私の両肩に手を置きながらそう言った。
「同情するなら」
「金はあげないよ」
「ですよね」
かくして私は教壇の目の前という素晴らしい席を確保したわけだ。
「仕方ない…。頑張るか」
「うん。頑張りな」
気合いを入れて教壇前の自席まで移動してイスに腰を下ろす。ふと机を見るとかなりの数の落書きがされていて、この場所でここまでの落書きを施した誰かを心底尊敬した。
「あれ?」
机を穴が開くほど見ていると、沢村君に声を掛けられた。何故だかわからないが不思議そうな顔をしている。
「なに?」
「ここ俺の席じゃねーの?」
「え?いや多分違うと思うよ」
「でもほら、これ!」
「…あー」
友人が以前「沢村って夏休み明けてから何か雰囲気変わったよねー!影が出来たっていうか…大人になった!かっこいいかも!」とかなんとか言っていたが、多分それは気のせいだ。6と9をまともに読めない人を大人とはいわない。
「これ6じゃなくて9だよ。こっちに印ついてるし」
「え!?ってことはもしや俺の席って教壇前じゃないのか!?」
「あー…いや…どっちにしても教壇前なんじゃないかな」
「あ…ほんとだ…」
「お互い頑張ろうね」
「………そうだな」
沢村君は弱々しく笑いながら私の隣の席に座った。ムードメーカーの沢村君が隣なら退屈な授業も少しは楽しめるかもしれない。そしてそんな私の予感は間違っていなかったのである。
席替え完了
(はみどりたいって何だ?)
(…葉緑体だよ沢村くん)
(!!!)
うーん…。なんか微妙だけど消すのも勿体無いのでこっちにあげときます。沢村のキャラがいまいち掴めません。
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