雨の日(幸村)


梅雨の晴れ間だ
久しぶりに太陽を見た気がする。

花壇の花も目一杯光合成できるだろうと安心した。





「うわぁっ…精市!霧みたいな雨が降ってきた!」

隣にいた幼なじみが声をあげた

「きつねの嫁入りってやつだね」
雨粒が光に照らされてきれいだと思う



「精市みたいだね。」

「は?」

「心は泣いてるのに顔は笑ってる」










「…お前のそういうとこムカつくなぁ」

「えー?!」


他の人には弱い自分をうまく隠しているのに、どうして君にはわかってしまうんだろうね。悔しいな。


でもそんな駄目な部分も知っていながら側にいてくれることに救われていることも確かで


「ほんとは嬉しいくせに」

にこにこと嬉しそうに見上げてくる彼女の額を軽く弾いてやった


「いだっ」

「ほんと厄介」

緩んだ表情を見られるのが何だか悔しいので、彼女が下を向いて痛がっている間に笑った。