雨の日(跡部)ヒロイン視点










「うわ〜さいっあく…」

委員会が終わり、やっと帰ろうとした頃に雨が降ってきた。

朝は降ってなかったのに
置き傘あるかと思ってたらなかったし…

このまま一気に降ってしばらくしたら止むかなぁ


靴箱にもたれてぼんやり外を眺めていた




「おい。何してんだ」

このえらそうな声は…

「跡部…」


こんなじめじめした暑苦しい天気なのに、何だかいつでも涼しげだ。
「まさか傘持ってねぇのかよ」

跡部はしっかり高級そうな傘を持っている

「…置き傘あると思ってたんだもん」

あーぁどうせ『バーカ』とか言って、帰っちゃうんだろうな

「はっ、バーカ」

やっぱりね
しかも鼻で笑うというオプション付きだ


ほれ、とっとと帰…
「おら、早く入れよ。」


「…へ?」
すごくマヌケな声が出た


「入らねぇなら別にいいけどよ」
そう言うと跡部は、すうっと歩き出した

「は…入ります入ります!」

慌てて跡部の傘に入りこむと、綺麗な顔で笑っていた


「跡部めずらしく優しいね。雨でも降るかも……ってもう降ってるか」

「ほんとバカだな、お前は」
そういいながらカチカチと何かメールを打った後、
携帯をパチンと閉じた。

「そういえばさ、今日は車でお迎えじゃないの?」


「…まぁな」

「ふぅん。雨の日こそ送ってもらえばいいのに」


「お前には分かんねぇだろーよ」

「庶民にはってこと?失礼だなー」


「…鈍い女」


「?」