半ば脅迫のようなかたちで部活に参加させられた私


幸村くんが練習前に大会のこととかごちゃごちゃと部員に説明しているのを、端の方で聞いていた。

帰りたい…………


「−以上だ。何か質問があれば言ってくれ」


「幸村部長〜」

「何だい赤也」

「その人誰っすか?」

もじゃもじゃの男の子が好奇心いっぱいの目で私を指差して言った
部員の視線がこちらに集まっている。

いたたまれない


「あぁ、彼女は今日からテニス部の手伝いをしてくれるんだ。こき使ってあげてね。」

はい、じゃぁ練習開始!と幸村くんが言うと、部員はそれぞれ散らばって行った。


てかさっきの紹介ひどくない?自分から「こき使ってください(笑)」とか冗談で言うならまだしも
人から言われたの初めてだよちくしょー



「何ボーっとしてるの。早く着替えてきなよ」

後ろを向くと、涼しげな顔でジャージを肩にかけた幸村ボスがいた


「着替えるってジャージとかに?」

「そう。まさか持ってきてないとか言わないよね」


「…………だって今日体育なかったし…」

「……………はぁ」

ボスは、わざとらしいため息をつくと
手元のスイッチを押した

『たるんどるっ』


「ぎゃぁ!」


「明日からちゃんと持ってくるんだよ」



真田アラーム…そういう使い方もあるんだ…………



やば、真田くんがこっち見てる
気まずいから気づかないふりしとこ…