昨日は悪夢のような1日だった

それに引き換え今日は休み時間中もボス(幸村くん)に会うこともなく
平和に6時間目の授業まで終わった

いつもならこのまま家に直行なんだけど



『じゃ、明日からさっそく練習きてね』

と昨日言われてしまったのだ




夢だったらいいのになぁ…




あ、夢だったのかも



うん。悪い夢だった



そうだ

このまま悪夢だったことにして帰ってしまえばいいのだ…!


バカ正直にあんな脅しに従わなくていいじゃないか!

そう思い立つと、さっさと校門へ向かった





意気揚々と門まであと5mのところにさしかかると




『たるんどるっ』


ビクッ!!!


なに…?今の声
微妙に聞き覚えが…………




『たるんどるっ』


ぎゃぁ!
まただ!!





『たるんどるっ』

なんか一定の間隔だし…
これは…………アラーム?




しかも………



私から鳴ってる?!?!







『たるんどるっ』
絶対私だ!
どこから鳴ってるのか、うわぁぁぁと自分の体のいろんなところを叩いた

まわりから「え〜あの子真田くんファンなの〜?しぶ〜い」とか聞こえてくる




違うんですぅぅぅ!
もう泣きたい




『たるんどるっ』

うるせぇ!!









「ふふ。楽しそうだね」


「…幸村くん!」

心底楽しそうに笑うと、幸村くんは
これ見よがしにボタンのようなものを取り出し、スイッチを押した


『たるっ…』

不気味なアラームが消えた……

……ということは……!




「気に入った?真田アラーム」

おまえかぁぁぁ!




「なんなのよ!これ!」

「下僕ちゃんが逃げないように、昨日仕掛けさせてもらったよ。」

いつのまに!
どこにあるのか必死で体を探った


「ムリムリ。俺が仕掛けたんだから絶対に見つけられないと思うよ」

にっこり という擬音が聞こえてきそうな笑顔で
なんと鬼畜なことを言うのか…

やはり逆らっても無駄か

バレずに校門を出て電車に乗れたとしても、ヤツにあの真田アラームとやらを鳴らされたら…


想像するだけで恐ろしい



さようなら帰宅部人生……





「さ、行こうか。テニスコートはそっちじゃないよ?」

幸村くんは勝ち誇った顔でそう言って、テニスコートへ向かった



くそぉ……………!