まんまと捕まってしまった私
(てかなんであんなこと知ってんの?!怖いんだけど!)




部室へと連行されました





「怪しい奴を捕まえた」



部室の奥のこちらに背を向けて座っている人が
柳くんの声に反応してこちらを向いた




「どうする?幸村」



あ〜、部長の幸村くん
……いきなりラスボスだ






幸村くんは優雅に足をくみ変えながら口を開いた


「そうだなぁ…キミ、部室の裏で何してたの?」


「や、ただボールを…」
ウソを突き通してとっとと逃げるしかない



「…柳、彼女のデータは?」


「小宮山ヨウコ、3年、趣味は寝ることと食べること。食べ物のためなら何でもやる。到底思春期の女子とは思えぬ性質をお持ちのようだ。」



否定できないけど腹立つな…



「なるほどね。あらかたテニス部員の私物を漁ってご褒美にお菓子でも貰おうとしてたんじゃない?」

何でさっきの情報だけでそこまで分かるんだよ…!




「そ…そんな盗むだなんてまさか〜」
「ウソはつかない方がいいよ。地獄で舌を抜かれちゃうから」
そう言いながらハサミを触る幸村くん

…今抜かれそうなんすけど!!!


もうこれは危険すぎる…さっさと謝って解放してもらおう





「…テニス部員の飲みかけジュースでももらって、ファンにチロルチョコ1年分貰おうと思ってましたすいませんでしたもうしません」


「よかったよ。正直に話してくれて」





「じゃぁ解放…」


「罰として卒業までの約半年間、テニス部の雑用をしてもらおうかな」

「はぁ?!」
綺麗な笑顔で何言っちゃってんの?!



「だって、泥棒って犯罪だよ?わかってる?」


「まだ未遂…」
「嘘つきはドロボウのはじまりって言うだろ。」


「そんな小学生みたいな屁理屈…」
「ウソついた時点で君はドロボウなんだよ」

幸村くんは笑顔を崩さず小首をかしげた

そんなめちゃくちゃな…!!



捕まった時点でもうこのボスからは逃げられない運命だったんだろうか

会った瞬間こっちが下だと思わせる威圧感
ぱねぇっす…







「雑用って…マネージャーってことですかね?」

マネージャーって毎日部活行かないとだめってことだよね
万年帰宅部の私には過酷すぎる…


「まさか!」
幸村くんは愉快そうにハハッと笑った




だよね!

じゃぁ別に毎日ってわけじゃ…
「マネージャーなんて大層な役職につかせるわけないだろ。毎日雑用をする、まぁいわゆる下僕ってやつかな?」







げぼく………?




「これからよろしくね。下僕ちゃん」







1日で泥棒と下僕という最低な称号を手に入れてしまいました……