外に出ると、冷たい空気が鼻に刺さるようだ。

「さむーい……」

体をぎゅっと縮こめ、さっさと部室へ向かった。

ドアを開けると、何やら丸井くんが目を輝かせながら机にむかっている。

この目は食べ物のことを考えているに違いない


「今度はどんなおいしいものを見つけたの?」

そう言いながら、丸井くんの手もとにある雑誌を覗き込む


「よぉ小宮山!クリスマスケーキどんなのがいい?」

「クリスマスケーキ?」

よく見ると、それはクリスマスケーキのレシピが載った本だった。


キラキラしたケーキの写真がたくさん並べられている!すばらしい!!


「えー!迷う!チョコ……タルト…でもやっぱシンプルにイチゴのケーキかなー!」

「イチゴかーこの時期高いからなー。予算と相談だな」


「え、まさか丸井くんがつくるの?!」

「おう、そのつもり」

さも当然のように答え、ぷくーっとガムをふくらました。

……すごい
ケーキなんて作ったことないよ
私もちょっとは料理しなきゃな………いつかは



「あ、24日クリスマスパーティーやるからな」

「え?24日って12月の?」

「あたりまえだろ。クリスマスパーティーっつってんだろーが」

丸井くんは本から目を離さずに話す


クリスマスイブも部活あるのはなんとなく想像してたけど…


「クリスマスパーティーやるからなって…まずは空いてるかどうか聞いてよ」

「なに、予定あんの?」

「ないけど!」

やっぱりな〜と丸井くんが笑ながらまたガムを膨らます。

…悔しい

前にもこんなやり取りあった気がする。
進歩しないな私も…

まぁいいや。クリスマスイブはみんな彼氏と過ごすらしいし
部活でもケーキ食べて家でもケーキ食べられるなんて最高じゃないか
うん、そうだ と自分に言い聞かせた。


「プレゼント交換とかするの?」

「あー、考えてなかったけどおもしろそうだな。やるか!」

「うん!」


ちょっと楽しみになってきたかも


どんなクリスマスパーティーになるんだろう。
にぎやかになることは確実だな、と想像すると
自然と頬がゆるんだ。