今日は友達のあっちゃんとケーキ屋さんに来ている。 まぁこの後も部活があるんだけど…たまには休みらしいこともしないとね。 「最近どうなの?テニス部は」 「ちょっと楽しくなってきたかな…」 「いいなー!あ!ねぇ、幸村くんてどんな感じなの?」 あっちゃんは目をキラキラさせている。テニス部の話をする時は、いつもだ。 なんでもファンの間でも幸村くんの情報は少ないらしい。 質問しても、うまくかわされてしまうとかなんとか 「最近たまに優しくしてくれる…かな」 「え?なにそれ。幸村くんはそりゃ優しいでしょ〜」 うっとりしたようにフォークを握りしめている。 たしかに見た目は美少年という感じだ テニス部で雑用を始める以前に噂で聞いていた幸村くんのイメージは、誰にでも優しいとか、いつも笑顔とか…完璧で欠点なんか無いだとか そんなのばっかりだった みんなはそういうところが良いって言ってたけど 私はあんまり人間らしさを感じられなくて、ちょっと怖かった でも最近は… 「幸村くんもあんがい普通の中3男子みたいだよ」 冗談言ったり、ちょっと意地悪してみたり 噂で聞いてた幸村くんのイメージとは全然違っていた。 最初は幸村くんの本質が見えなくて怖かったけど テニス部で雑用始めてからは、幸村くんも意外と普通の男の子だなっていうのがわかって 言いようのない怖さを感じることはなくなった。 何かと意地悪なことをされるから、違う意味ではビクビクしてたけど… 最近は意地悪より、普通に優しくしてくれることも増えた。 チロルチョコくれたりかき氷くれたりオムソバくれたり…って私の良い人の基準て食べ物くれるかくれないかで決まるのか…?それはおいといて、最近の幸村くんは、なんだか優しいんだ。 「普通の中3男子ねぇ…遠巻きに見てるだけの私らにはピンとこないけど」 「ふーん」 「でもさ、それがきっとほんとの幸村くんなんだろうね。テニス部メンバーやヨウコには、幸村くんも素の状態を見せてるってことだよね」 ……そうなのかな… そうだったら、なんか嬉しいなと思いながらも 気恥ずかしくなってきて、最後に残したケーキのイチゴを口に入れ じゃぁもう練習行くね、とお店をあとにした。 「え?」 「だから、一週間後に合宿するよ」 部室に着いた私に、幸村くんのいきなりの言葉 頭がついていかない。 合宿…? 「おー!やったぁ!」 「合宿ー!」 丸井くんと切原くんはすごく嬉しそうにしているし、他のメンバーも特に驚く様子はない。 「去年もレギュラーメンバーで合宿をしたんですよ。」 「柳のペンション借りてな。ありゃ最高やったのう」 困惑した私のアホ面を見て、柳生くんと仁王くんが説明をしてくれた。 「今年もそこを借りられることになったんだ」 「海はきれいだし、刺身もうまかったよな〜!」 お刺身…! 「それって…私も行っていいの?!」 きっとはまぐりとかも食べれるよね!ウニなんかもあったり…! うわああああ!食べたい! 海の幸に興奮しすぎて幸村くんの袖をぐいぐいひっぱった 「当然。しっかり働いてよ。」 こうして立海レギュラーと海合宿に行くことになりました。 海だ海だー! ← → |