「おー、かわいてる!」

この間、幸村くんに発注してもらったタオルが届いたので、早速洗濯をし、干しておいた。


部室でたたんじゃおう。
そう思ってカゴにふかふかになったタオルをつめた。

今日も晴れてる。空も青い。

平和だなぁ





「小宮山せんぱーい」

名前を呼ばれて振り返ると、切原くんと真田くんがこっちに向かっていた。


「そのタオル使っていいっすか?」

「いいよ。もうかわいてるし」
汗をいっぱいかいてる切原くんと真田くんに、タオルをわたした。


「うわ〜さすがにふかふかっすね!」

気持ちよさそうに汗を拭いてる
なんか嬉しい


「ふむ…柔軟剤を使ったのか。」

「使ってないよ」

「使っただろう。」

「使ってないってば」


備え付けの粉タイプの洗剤しか使ってない
というかこのやり取りちょっと前のCMみたいで嫌なんだけど…


「これ新しいタオルなんすよ、副部長〜」

「そうか…だから肌触りがいつもより良いのだな。」


よかった
2人とも喜んでくれたみたい


ちょうどみんなの休憩時間になったらしいので、カゴを持って部室へ向かった。






「お、きたな小宮山!何味にする?」

「えっなにそれ!すごい!」


部室に入ると、ガリガリと氷を削る音と
色とりどりのシロップが目にはいった


「かき氷?!すごーい!」

「ほれ!お前の分。好きなシロップかけて食えよ」

透明の容器に山盛りにのった氷を丸井くんから受け取った


うわぁぁ!
まさか部活中にかき氷が食べられるとは…!


「シロップは?何にするんじゃ?」

「えーっと…じゃぁレモンで!」

「ほらよ」


「ありがとう仁王くん!」

うわぁぁ!おいしそう!
シロップをかけると、すこし氷の山が崩れてきた


「いただきまーすっ」

スプーンですくって口に含むと、甘さと冷たさが広がった
おいしいっ


「やっぱ削りたてのはおいしいよね!スーパーで売ってるカップのもおいしいけどさ。やっぱこれだよこれ!」


「だろぃ?わざわざ家から持ってきたんだぞ〜」

「さすが!天才!」

シャクシャクとスプーンで潰すと、氷が全部シロップに浸かった。きらきら光ってキレイだ。
魔法の薬ってこんな色なんだろうなぁ




「小宮山はレモンか」
「うん!ジャッカルくんはイチゴなんだね。イチゴもおいしいよね」

イチゴも食べたいな〜
もう1杯食べたいけど、きっと氷が足りないよね

がまんだがまん…


「ははっ!そんなものほしそうな目するなよ。俺のイチゴ、食っていいぞ」

「いいの?!」

「ああ」

「じゃぁ私のレモンもどうぞ。交換しよ」

ジャッカルくんやっぱ良い人ー!

かき氷を交換しようと、上機嫌で容器を差し出した




ぴゅー



ん?
あ…

「ああああああ!!」


きいろのかき氷にイチゴのピンクがまじり黒ずみ

ピンクのかき氷にレモンのきいろがまじり黒ずみ…


「なにすんのー!幸村くんっ!」
つまり幸村くんが私のレモンのかき氷にイチゴのシロップをかけやがった…!


「え?だってイチゴも食べたかったんだろ?」
なんか仏様のような笑顔をしてるけど、やってること最悪だからね


「そんな優しさいらないよ!」
しかも私のと同時にジャッカルくんのイチゴのかき氷にもレモンのシロップかけてるし!非道!


「おかしいなぁ。赤也はおいしそうに食べてるのに」

「見た目ほど悪くないっすよ、先輩!」
俺なんて全部かけっすからと言って、すさまじい色のかき氷をおいしそうに食べている


いるいる…こーいう奴


食べ物を捨てるのは私のポリシーに反するので、複雑な色のかき氷を食べた。

そらまずくなることはないけどさー!
色が汚いとかき氷の楽しさ激減でしょー


幸村くんを睨むと、涼しげな顔でイチゴのかき氷を食べていた。


言い返しても負けるだろうから何も言えない…
くそぉぉ!


ほとんど溶けたかき氷を一気にジュースみたいに飲みほした。
からっぽの容器にシロップの雫がついている。



「ん」

からっぽになった私の容器にピンクの氷の山が降ってきた


「へ?」
見上げると、幸村くんが立っていた

「食べたかったんだろ?イチゴ」

「…ありがとう」

どうせくれるなら最初から素直にくれたらいいのに!

ちょっとムッとしながらも一口食べると、そんなことどうでもよくなった


「おいしいっ」

「よかったね」
なんだか幸村くんも満足げだ
何がしたいんだこの人は

まぁおいしいからいっか





「おい仁王…これ、もしかしたらもしかしたりする…?」

「ブン太、まだわからんが…おもしろいことになってきたのう」