目が覚めると、見慣れない天井が見えた。




ぬ、天井


とかふざけてる場合じゃなくて…

そうだ、私気分が悪くて部活中だけど保健室で休ませてもらってたんだ


やばい
今何時だろう。結構寝てしまった気がする!

起き上がって時計を探そうと辺りを見回した


「あれ?」
枕元にミネラルウォーターとチロルチョコ…しかも大好きなきなこもち味が置いてあるのが時計よりも先に目に入った。



「おいしい…」

やっぱ疲れた体には糖分だよねぇ

誰のか確認せずに食べちゃったけど…
まぁいっか
だってこんなにおいしいんだし


「あいかわらず幸せそうなアホ面で食べるよね」


「…ぅ!」
びっくりしてチョコを吹き出しそうになったけど、ギリギリのところで止めることができた。


「幸村くん…」

保健室のドアを閉めて、こちらに向かってきた。
一瞬いつからいたんだろうと思ったけど、どうやら今来たばかりらしい。



「もう部活終わったから起こしに来たんだけど…起きてたみたいだね」

「あ…やっぱりもうそんな時間なんだ」
改めて窓を見ると、もう真っ暗だ


「なんか…ごめんなさい」
今日は結局何もできなかったな。
申し訳なくて目のやり場に困り、自分の爪に目をやる。

あ、さかむけ…


「いいよ。体調悪い時は遠慮せずに休んで。」


「えっ」
思いがけない優しい言葉に思わず顔が上がった


「その分他の日に倍くらいズタボロに働いてくれたらいいんだからね。俺だって鬼じゃないんだから」


鬼じゃない…?うん…まぁ…素直に頷けないと思ったのは一生内緒だ



「よし、そろそろ帰るよ。早く着替えておいで」


「え?あ…、はい…?」


「ダッシュ!3分過ぎたら罰ゲームだよ」


「え?…待っててくれるの?」

「いーち、にーい」


「うわぁ…!」

よくわかんないけど急ごう
ベッドから飛び下りて、更衣室へ向かった












「お待たせしました…」
女子なんだから3分じゃ無理だ…!くそお!


「あれ、早いね。もしかして罰ゲーム、本気にした?」

「え?」

「罰ゲームなんて冗談だよ。そんな病人にムチ打つようなこと、するわけないだろ」
そう言って幸村くんは楽しそうに笑った


もっとわかりやすい冗談を言え!




というか

「本当に送ってくれるんだ…?」


「もう暗いしね。一応女の子だろ。体調不良だし」

一応は余計だ




その後も何かしら、からかってくる幸村くんのおかげで忘れていたけど


あのチョコとミネラルウォーターは、誰が置いてくれたんだろう…


幸村くん?

まさかね…?