月に一度の女の子の日がきてしまった。

クラクラする…
今日も今日とて部活だ
周り男の子ばっかりだし、恥ずかしいから言いたくないし


せめて日陰に入れたら楽なんだけど
テニスコートって日陰がないんだなー…





「あ!あぶないっ!」



「いでっ」
お尻に衝撃があったかと思ったら、前のめりにこけてしまった。


「すいません小宮山先輩!大丈夫っすか!」


どうやら切原くんの打ったボールがあたったらしい。


「大丈夫大丈夫。お尻だからそんなに痛くないし」

普段だったらこけずに済むくらいの衝撃だ

手と膝を払いながら立ち上がった


「おや、血が出ていますね」

「あ、ほんとだ」

ちょっと膝を擦っちゃったみたいだ

柳生くんがポケットティッシュを取り出して拭いてくれようとしたので、慌てて受け取って自分で拭いた
練習中もポケットティッシュ常備とか…さすが紳士



「どうしよう…」

「切原くん、ぜんぜん大したことないから気にしないでよ」

切原くんは私の膝を見て青ざめている




「俺責任とって小宮山先輩と結婚するっす」


「…はぁ?!」


「姉ちゃんが言ってたんす。女の子をけがさせたら責任取らないとだめだって…」

いやいや!
なんかこの子涙目になってない?!


「赤也、安心しんしゃい。かすり傷やけん跡はのこらん。結婚せんでいい」


「ほんとっすか!よかった!結婚しなくていいんだ!あ〜よかった」


「よかったな」

急に安心して大きくガッツポーズをする切原くんと
そんな切原くんと私を交互に見て心底楽しそうに笑う仁王くん

今ので心に傷跡がのこったわ

そんなに私と結婚したくないか。
青ざめるほどか。
まぁするって言われても困るけどさ





「おっと…」
また頭がクラッとした
ボールが当たったところは痛くないけど、立ちくらみがさっきよりひどい





「ほれ」

「え?」

「おんぶ」
私に背中を向けてしゃがんだ仁王くんが顔だけこちらに向けている

「一応保健室行っときんしゃい」


「え!いいよ!」

「いいから。俺も姉ちゃんに女の子は大事にせないかん言われとる」


「でもっ…」

「ケツにボール当たる前からしんどかったんじゃろ?」


…なんでわかったんだろう


あったかくて甘そうな香りに惑わされて一口飲むとキリッとした苦味に驚かされる。


でも慣れるとほのかな甘さでほっとする。

やっぱりこの人を見るとコーヒーが飲みたくなる




「ありがとう…」
大人しくお世話になることにして、仁王くんの背中に乗っかった。もたれた途端体の力が、がくっと抜けた。
あー…思ってた以上に体調悪かったんだ…
目をつむると、頭の中がぐるぐる回ってる気がした。

仁王くんが言ってくれなかったら私はテニスコートでぶっ倒れてたかもしれない。




「48kgか」

「…!なんで知っ…あ!しまった!」


「あたりじゃ」




…やっぱり意地が悪い!!