放課後、柳生くんのおかげでカンペキになおった小テストを自慢気に先生に提出し、部活のため更衣室に向かった。



「小宮山。」

「あ、ジャッカルくん」


ジャッカルくんも部室に向かうところのようだ。


「今日も熱いな」

「ほんとだね〜いつもより多めにドリンク作っとくよ」

すぐなくなりそうだし、こまめにチェックしなきゃな


「だいぶマネージャーが板についてきたみたいだな。幸村も喜ぶんじゃないか」


「へ?」

じゃぁまた後でとジャッカルくんは部室の方へ行った

マネージャーって…
幸村くんが喜ぶって…


私、幸村くんには下僕認定されてるんですけど
喜ぶっていうより、やって当然だろと奴なら思ってるに違いない


でもマネージャーという響きがなんだかくすぐったい




「あ、やばっ」
浸ってる場合じゃない!
早くジャージに着替えないと










ジャージに着替え、さっき決めた通り、ドリンク作りを始めることにした。


からっぽの保冷ポットを両手に持って浄水器が付いている水道まで歩く。けっこう重いな〜…でも2回に分けて運ぶのは面倒だし。

両手が塞がっているせいで汗が拭けない。

毎日天気良すぎるだろー…
うるさいぞセミー




「小宮山さん大丈夫ですか?」

後ろから柳生くんの声がした。


「私が運びましょう。」



ん?

柳生くん………?



「どうかしましたか?」



「あなた…柳生くん?」
何か違和感


「おかしなことを言いますね」
柳生くんはめがねを上げながら少し笑った



だって…この感じ…
あったかくて甘そうな香りに惑わされて一口飲むとキリッとした苦味に驚かされる、コーヒーみたいな感じ


「あなた、仁王くんでしょ?!」


「…何を言うかと思えば。私は柳生ですよ?」


名前を呼んだ一瞬、強くなった仁王くんの雰囲気。
まちがいない!


「じゃぁ今日の昼休み、私は柳生くんに何をしてもらったでしょーかっ!!」

自信たっぷりにどや顔で言い放った。









「……降参。何でわかった?」
バレたのがつまらないのか、仁王くんは拗ねた子どもみたいなむすっとした顔している


「なんか…仁王くんを見てるとコーヒーが飲みたくなって、柳生くんを見ると紅茶が飲みたくなるんだよね。今はコーヒーが飲みたくなったから、仁王くんだと思った」

その人から出てくる雰囲気ってあるよね。丸井くん見たらケーキ食べたくなるし…条件反射的な



「…そんなことで見破ったやつなんて初めてじゃ。野生児のカンは恐ろしいのう」
仁王くんは一瞬目をまるくしたかと思うと下を向いて肩を震わせて笑いだした



「野生児って…一応思春期の女子なんだけど」

「お前ならテニス部、続けられるだろうな。幸村はわかっとったんかねぇ。やっぱただ者じゃない」


「ん?なに?」
幸村くんが?なんて?
最後の方よく聞き取れなかった



「お前もただ者じゃないって話じゃ」
そう言って頭をポンポン叩かれた。




「不思議なヤツやのう」



いえ、あなた程じゃないです