今日も良い天気だな〜

カールを食べながらぼんやりと教室の窓から外を見た
あっちゃんも無言でファッション雑誌を見ている





「小宮山ー」

頬杖をついて目を瞑っていると、先生に呼ばれた


「げっ」

ピラっと目の前に出されたのは悲惨な点数の数学の小テスト

なんじゃこりゃ…!


「間違ってるとこ直して、放課後までに提出な」



「え〜…」
文句を言う間もなく、先生は教室から出て行ってしまった。



今日もテニス部の練習あるし…お昼休みにやるしかないか


「…あっちゃん、お昼やす」
「ムリ!私委員会あるから!」

薄情ものめ…







しょうがないのでお昼ごはんを食べ終わったあとに、1人で図書室に向かった
あんまり行ったことないけど…とりあえず勉強するならここだろうという安直な考え

いくら図書室でやったって頭良くなるわけじゃないんだけどね


久しぶりに来た図書室は、人もまばらで静かだった

昼寝にもってこいの場所だな
私のお昼寝ベストプレイスメモに加えておこう…じゃなくて。テスト直さないと



日当たりの良い窓際に座り、テスト用紙と教科書を机に並べた。
あとこっそりポケットには梅のど飴
糖分は大事だ
飲食禁止ってあるけど飴やガムならまぁ…いい…よね?
こっそり食べさせていただこう


よしっ!やるぞ!
シャーペンをカチカチして、テスト用紙に向かった




「……」




「……」





「……」





「……」








わからない…

わかるわけない

教科書見るだけで数学の答えがわかるならテストでこんな低い点数とるわけないじゃないか!
増えるのはのど飴の包み紙だけだ。
もう5個も食べてしまった
1問も解けてないのに!
糖分使うほど脳が働いてないのに!




「おや、小宮山さん」


うわーと後悔の念に苛まれていると、聞き覚えのある声がした




「あ、柳生くん…」


「数学の勉強ですか?感心ですね。」


「まぁ…。でも全然進まなくて」
進むのは飴だけだ


「良ければ向こうで私達と一緒にやりませんか?」

そう言って柳生くんが顔を向けた先には、丸井くんと切原くんが心底嫌そうな顔をして座っていた。というか座らされてる。
柳生くんに勉強を教わってるのかな


「…ぜひお願いします」




こうして勉強会に混ぜてもらうことになった


「よー小宮山〜。お前もテスト直しか?」

「おぉ!先輩もバカなんすね!親近感わくっす」

「…うるさいよ」



「さ、始めましょうか。そろそろ取り掛からないと昼休みが終わってしまいますよ。」


「はぁい…」


丸井くんと私は数学を、切原くんはひたすら英単語を書いていた。












「あ!わかった!さっきみたいにここに直線引いたらいいんだ」

「そうです。コツを掴めば図形問題は簡単でしょう?」


「うん!でも柳生くんのおかげだと思う」




柳生くんが丁寧に教えてくれたおかげで、無事全部終わった。


「ほんとにありがとう!」

「いえいえ。いつも部活でお世話になっていますからね。」



「………」
お世話になってるなんて言ってもらえるほど役に立ってないのに…

優しいこと言ってくれるなぁ…




「お?なんだ?顔赤っ照れてやんの〜」

「意外と女子らしいとこあるんスね〜」


「…うっさい!」


照れ隠しに飴のゴミを投げつけてやった。