私の雑用人生も1週間経った


1週間ともなると、雑用にも少し慣れてきたなぁ。まぁまだ名前を覚えてない部員とかもいるけど…


仕事をしながら他のことも考える余裕ができたので、
ドリンクを作りながら練習の様子を観察してみることにした。



仁王くんも丸井くんも普段はバカみたいなとこしか見たことないけど、テニスやってる時は凛々しい顔してるんだなぁ…


なんかそこまで真剣に打ち込めるものがあるって、ちょっと羨ましい。

今まで全然テニス部なんか興味なかったのに。話す機会が増えたからだろうか。単にテニス部員とひとくくりで判断していたことが、申し訳なくなってきた。










「ぼーっとするなんて、随分余裕だね。」


「うわぁっ!」

ゆ…幸村くん。
いつからそこに…



「ひまなら『おら弁当持ってきただー』って他校に偵察ごっこでもしてくる?」


「ぜったいやだ!」






そういえば

幸村くんはいつ練習してるんだろう。
私が雑用やるようになってまだ1週間だけど、人に指導したりしてるとこばっかりで幸村くん自身の練習をしている場面をあまり見てない。




「なに?」「いえ、何も」
これ以上ボケッとしてたら怒られそうだ。
観察はそこまでにして仕事に取りかかった。
















「疲れたー!」
そしておなかもすいた!


部活が終わって制服に着替え、校門に向かっていると後ろからおーぃと誰かに呼ばれた気がした。


「小宮山ー!俺らラーメン食ってから帰るんだけど、一緒に行かねぇ?」

私を呼んだのは丸井くんとジャッカルくんのようだ。



ラーメン…!



「行く!」

「さすが!即答!」

ラーメンラーメン!
頭の中はもうラーメンでいっぱいだ。
スープは醤油?みそ?細麺?こってり?煮たまごある?
とかラーメンの質問ばっかりしてたらあっというまにお店に着いた。

「お前ほんと食に対して貪欲だな」
「…ブン太に言われるなんてよっぽどだぞ」
とか呆れて言われた気がするけど気にしない。






食べ終わって一息つくと、今日気になったことをせっかくだから聞いてみた。


「ねぇ、幸村くんはいつ自分の練習してるの?」

「幸村くん?そうだな…部員が帰ったあととか…とにかく部活中は他の部員の指導したりしてるからなぁ」

「俺らの知らないところでも相当やってるはずだ」

ふーん…
やっぱりみんなが見てないところでちゃんとやってるのか…


「お前、幸村くんの試合とか見たことねーの?」

「……ない」

「もったいねー!幸村くんはほんっとに強いんだぞ」
そう言って丸井くんは目をキラキラさせてる。
きっと同じテニスプレイヤーとして尊敬の気持ちとかあるんだろうなぁ。
絆とか信頼みたいなもの。



そういえば立海って全国大会常連校なんだよね。
普段みんな明るくテニスしてるけど、きっと幸村くんだけじゃなく影ながら苦労とか努力とかしてるんだろうな

よくよく考えたら、私すごい部活で雑用やってるんだな…

そんな中で私って…なんか中途半端

うーん……


「どうしたんだ?顔が険しいぞ」
「食いたりねぇんだろぃ」


「ち が う」