部活が終わる頃には、辺りはすっかり暗くなっていた。

これを毎日……?

大丈夫なんだろうか私


常備しているうまい棒を食べながら帰ろうと、かばんを漁った


うわ…ラスト1本じゃないか

コンビニで買い足そう…


お菓子のためなら足取りはめちゃくちゃ軽い


すぐ近くにあったコンビニに入り、お菓子コーナーへ直行する

めんたいことコーンポタージュとサラミ味と…

なんでおいしいのにこんなに安いんだろう!

10本ほど手に取り、うきうきとレジに進むと
見慣れた制服の人がお会計中だった


立海の生徒だ
しかもテニスバッグ持ってる



あ、このもじゃもじゃは確か…
部活が始まる時に幸村くんに質問した人だ。




「げっ」

どうしたんだろう。1人なのに声なんか出して。
名前は何だったっけ…思いだせないので仮にもじゃもじゃ君としておこう。
そのもじゃもじゃ君は何やら焦った様子で財布を探っている


もしかして、お金足りないのかな…?



「あ!あんた!確か…」

もじゃもじゃ君はどうやら私に気づいたみたいだ


「下僕先輩だ!すんません100円貸してください!」


「ちょっ…下僕とか人聞きの悪いことでかい声で言わないでくれる?!」

「あ〜もう何でもいいから100円〜!一生のお願いっす!」
まわりを見ると少しレジに列ができてしまっている。


下僕先輩は聞き捨てならないけど、とりあえずもじゃ野郎が買おうとしていたコーラと自分のうまい棒のお金を払った。








「いや〜、ありがとうございました!」

店の外に出ると、もじゃは安心したように言った。


「下僕先輩、このご恩は一生忘れないっす!」

「その下僕先輩っていうのやめてくれるかな!」

「え?下僕って名字じゃないんすか?幸村部長に名前聞いたら『下僕ちゃんだよ』って言ってたのに」


「……………」
頭が痛い。
もじゃはどうやら下僕の意味を知らない、純粋なもじゃだったようだ。
こんな純粋な子になんてこと教えるんだあのドン幸村…!


「私の名字は小宮山っていうの」


「そうなんすか!俺は切原赤也っす!小宮山先輩、お金は明日ちゃんと返しますんで」


「いいよ…100円くらい。奢ってやらぁ。じゃぁね」

もじゃ…切原君に軽く手を振り、家に向かって歩き出した

なんだかどっと疲れた
ほんとは100円はけっこう重要だけど(うまい棒10本買えるし)年下から回収するのもなぁ…とちょっとかっこつけてしまった。












「……かっこいー…!スーパーマンみてぇ!」

この時、切原君にヒーローと認定されたようです