優しい鳥のさえずりが聞こえ、すっと目を開けた

自然と目が覚めるこの感じが、とても心地よい。

今日は珍しく部活も学校も休みだから、目覚ましをかけずに寝たはずなのに
結局いつもと同じような時間に目が覚めた。

さすが俺の体内時計

なんて自画自賛をしながら、寝返りをうつと
下の階からタタタタタと足音が聞こえてきて
だんだん俺の部屋に近付いてくる。

この足音は………

「精市ー!おはよ!」

バンッと勢いよく俺の部屋のドアが開く


「ね、おーきーてー!」

幼馴染兼今は俺のかわいい彼女

おもしろいからすこし寝たふりをしておこう。

「まだ寝てるのー…?」

俺がびっくりして飛び起きるとでも思ったのだろう。
反応のなさに、不満気な拗ねた声が聞こえる。

布団をかぶっているから名前子の顔は見えないのに、今どんな表情をしているか簡単に想像できて頬がゆるむ。

「朝ですよー」

さっきの勢いはどこえやら、とぼとぼと力なく俺のベッドに近付いてくる

いいのかな?
そんなに油断していて

俺の布団をめくろうと伸びてきた名前子の手を、すかさず掴み

「わっ!」

力のまま名前子をベッドの中に引きずりこんだ。

「えっ?!えっ?ななななに?なに?!」

心底驚いた様子で、俺の腕の中でジタバタしているのがおかしくて我慢できずに吹き出してしまった。

「あ!!起きてるの?!…寝たふり?!」

「バレた?」

腕の力を緩めて、顔を覗き込むと
ボッと音がしそうな勢いで名前子の顔が赤くなった。


「……昨日夜中の0時過ぎてから誰かと電話した?」

「してないよ?」
真っ赤な顔で何を言うのかと思えば…
昨日は早めに眠ったし、誰とも電話していない。

「じゃあ今朝は?」

「さっき起きたところ。ベッドからでてない」

そう答えると、名前子の顔がみるみる笑顔に変わる

「よかった…!一番におめでとうって言いたかったんだ〜」

思いもよらなかった彼女の言葉に、一瞬目がまるくなる。
でも、理解するとともに
どんどん嬉しさがこみ上げて
二人笑顔で向き合った。

「お誕生日おめでとう、精市!」