自分の小心者っぷりが嫌になる。

名字名前子と書いてチキンと読むのではないだろうかと疑うほどのチキンっぷり。

あああ…自分がにくたらしい


左手に持ったプレゼントを見ると、また悲しさが増した。

今日はこっそり片思いをしている幸村精市くんの誕生日。

卒業までの最後の思い出に、と
勇気を出してプレゼントを用意した。

でも私は幸村くんとそんなに親しくもなく…
緊張しながらタイミングを見計らうも
今日の彼はいつも以上に女の子に囲まれていて、たくさんのプレゼントを笑顔で受け取っていた。


「やっぱ渡せるわけないよ…」

授業はとっくに終わり、部活が終わる時間になっても渡すこともできず、
かといってこのまま帰る気にもなれず

屋上のフェンスでうな垂れていた。


あぁ、私に優しいのはメロンパンの甘さだけ。

今日はすでにお昼にメロンパンを食べたけど
やさぐれてまた2つも買ってしまった。
購買のおばちゃんに、食べ過ぎじゃない?と心配されつつ
これが食わずにやってられますか!と振り切って買ってきた。

毎日食べてるのに飽きないこの味

あー、おいしいなぁー!!

右手に持ったメロンパンをヤケクソぎみに大きくかじった。


「よぉお嬢さん、うまそうなメロンパンやのう。一口くれんか」


声がした方を振り向くと
オレンジのユニフォーム…テニス部の…仁王くんと、柳生くん…
学校の有名人がなぜこんなところに。


訳がわからずポカンとしていると、
仁王くんが言葉を続けた。


「おまえさんに頼みがあるんじゃが。まぁ頼みといっても、お互いプラスになる話ぜよ」

そう言いながら、仁王くんは私の持っているプレゼント見てニヤリと笑った。