幸村くんが職員室へ向かい
丸井くん、ジャッカルくん、切原くんが家庭科室へ向かうのが見えました。



幸村くんへの誕生日プレゼントであるルノワールの画集は、念には念をと
教室の私のロッカーに保管してあります。
そろそろ私達も取りに向かった方がいいですね。


「仁王くん、私達もそろそろ向かいましょうか。」


「あぁ。その前に…参謀、サプライズを一つ増やしてもかまわんか」

「どういったものだ?」

「メロンパン、とだけ言っておこうか」

「ほう…興味深いな。勝算はあるのか。」

「まぁな。朝確信した。」

「ならばいいだろう。だがあまり無茶はするなよ。」


会話の内容はよく分かりませんが
お二人ともなんとも言えぬ悪人顏…失敬…笑顔をしています。


「待たせたな」

話は終わったらしく、私達は教室へと向かいました。




ロッカーから包装されたプレゼントを取り、あとはテニスコートへ戻れば任務終了。


「柳生、ちょっと屋上へ寄ってもかまわんか」

「…先程の柳くんとの話に関係あるものですか?」

「まぁな」

仁王くんはにやりと笑うと、私に背を向け
屋上への階段を登り始めました。


何をするのか見当もつきませんが…仁王くんとペアになった以上、付いていくしかないですね。



仁王くんが屋上の扉を開けると
光の中からフェンスにうな垂れる女生徒の背中が見えました。

左手にはプレゼントの様なもの
右手にはメロンパン

両手に絶望を抱えたような雰囲気をもつ背中でした。