うっすらと目を開けると 白いカーテンから太陽の白い光が柔らかく入り込み、 俺が暮らす、ワンルームの部屋全体を明るく照らすのが見えた日曜日の朝 昨日一緒に眠ったはずの彼女がいない。 ゆっくり寝返りをうって、キッチンの方を向くと こちらに背を向けてコンロの前で作業中の名前子の姿が見えた。 トントンとリズムの良い包丁の音が聞こえ お鍋からはコトコトとスープの良い香り 朝食の準備をしてくれてるんだな、と 自然と自分の頬が緩むのを感じた。 BGMには彼女が大好きな愛の歌が 聴こえるか聴こえないかぐらいの小さな音で流れている。 俺がまだ寝てるから、気を使ってくれているのだろう。 鼻歌まじりに小さく口ずさむ彼女の声 俺の視線に気付くことなく、鮮やかな手際 パンが焼ける音が鳴り、コーヒーの香りも漂ってきた。 「よし、できた」 ポン、と両手を叩く名前子 こちらに振り向くような気配を感じたので そっと目を閉じて眠っているふりをした。 すると思ったとおり パタパタと近付いてくる足音が聞こえる。 「精市、ごはんできたよ。起きて?」 優しく肩を撫でる感触 近付いた時にほんのりわかる名前子の香り 俺だけの耳に届くかわいい声 世界の全ての幸せは、きっと君からできている |