もう後がない…!
もう明日だよー!!

昨日ショッピングモールに寄ったのはいいけど、
特に何も見つからなかったなぁ…

おまけにちゃんとお母さんに連絡しなかったから、今日は早く帰ってこいって怒られちゃったし
迎えに来てくれた精市にも駅から家に着くまでお説教されたし…



あぁぁ…どうしよう…

いつも困った時は精市に相談してた。
いつも的確にアドバイスをくれてた。

けど今回ばかりはそうはいかない。

去年は何をあげたっけ…


参考になるかもしれない、と
昔のことを思い出そうと試みた。







………思い出した

変な柄の靴下だ…

おもしろ雑貨屋さんで売ってた、すんごい変な柄の靴下だ。

精市が喜ぶとか関係なしにおもしろいからっていう理由であげた気がする…


あれ精市が使ってるとこ見たことないよ

我ながらなんて色気のないものを…!
去年の能天気な自分だからできた荒技だな…
今の私には…精市を異性として意識してる私には到底無理なお話だ。

去年の自分は何も参考にならないことが分かった。


あー、私のバカ!






というわけで、最後の最後に精市に直接突撃してみることにした。もちろん誕生日のことは気付かれないように。



「精市、入るよ〜」

軽くノックをしてから部屋のドアを開けると、どうやら勉強中のようだった。


「あ、ごめん。忙しい?よね?」

「もう終わるからいいよ。座りなよ」


せっかくなので、お言葉に甘えておじゃますることにした。



机に向かう精市の背中
細そうに見えて、意外と広い背中だな
やっぱり男の子だ。

赤くなりそうな頬をぺしっと叩いてひきしめた。


「ねぇ去年さー、私がプレゼントした変な靴下…どうしてる?」

「あぁ、あれ?使ってない」

だよねー



私のバカバカバカと、また脳内で自分を攻めていると
精市が机の一番下の引き出しを開けた。

「ほら。相変わらずすごい柄だよね」



一年も前にあげたのに
どこにいったっけ?なんて迷いもせずに、一番下の引き出しから出てきた靴下


私、知ってるんだ

精市は大事なものは机の一番下の引き出しに入れるって

だって私も昔、精市に教えてもらったんだもん。




「よしっ!…わぁっ!近っ!」
「…………ちっ」


「(今舌打ちされた…!)なに…?」

「べつに…」
俯いていた顔を上げると、いつのまにか顔がくっつきそうな距離に精市がいた。
手が私の真横につかれているほどの距離なのに、全然気がつかなかった

自分の世界に入りすぎてた…!


「と、とりあえず今日は帰るね!」

「はいはい…」

勢いよく立ち上がり、自分の家へ戻った。



前から本気で考えてたけど、今から本気の本気でやる気でてきた!