んな日にも 34
車に着くと獄寺さんは助手席のドアを開けてくれる。さっきの女子の会話を思い出してシートベルトを止めながらクスリと笑うと、運転席へ座った獄寺さんが不思議そうに俺を見た。
「あ、この前俺も言ったけど、さっきクラスの女子達が獄寺さんの事を王子だって。で、今ドアを開けてもらってやっぱりそうだな。って思ったんです」
「あなた限定ですよ?」
「///っ!!…獄寺さん、そればっかり」
「すいません。でも本当の事ですから。あなた以外に…まぁ仕事は別として、人に気を使ったり、大切にしたいなんて思いません」
「…………………」
運転してる獄寺さんの横顔は凄く真剣で格好良くて見惚れてしまう。なんでこんな人が俺にこんな事言ってくれるのか分からない。
「嫌、ですか?」
「えっ!?そんな、全然っ!!」
信号に捕まり車が静かに停車する。獄寺さんが少し困ったように眉を下げて笑いながらこっちを見た。横顔を凝視していた俺は目が合ったのが恥ずかしくて慌てて前を向くと、フワリと髪を撫でられ、そのままその手は頬をくすぐる。横目でチラリと獄寺さんを伺うと前を向いていて、車の発進と共に手はハンドルへ戻された。
「……………………」
「あ、このまま俺の家に行っても平気っすか?自宅、寄ります?」
「…え?(あれ?今何か思ったんだけど…何だったかな…)えっと、制服のままで良いなら俺は別に良いんですけど」
「じゃあ、このまま。制服姿初めてなんで新鮮です」
確かにいつも私服だったから。でも女の子じゃないんだから、制服って言ってもたいして変わらない気がするのに。
そう言えば聞きそびれていた事を思い出す。
「…今日、何で学校に来たんですか?」
「早く逢いたかったから…なんですけど、ご迷惑でしたよね。さっきの友達にも悪いことしました」
「…や、学校の場所はこの前ご飯を食べた時に近くだと話したからすぐに分かったんだろうけど、まさか学校に迎えに来るとは思って無かったから驚いたんです。骸はあぁゆう態度だから分かりにくいんですけど、心配性なんだと思うんです。多分本人に言ったら否定するでしょうけど。だから大丈夫です」
「あ、助けてもらったと言ってたけど何かあったんですか?」
「そうそう!あれは、もとわと言えば迎えに来た獄寺さんが王子だったのが原因なんですよ!あ〜あ、月曜学校行きずらいな〜」
「えっ?俺のせいっすか!?すいません!!」
“早く逢いたかったから”と言われた時、心臓が痛いほどドキン!とした。何だか心臓が保たない気がして話題をそらす。
ちょうどさっきの出来事が出たのでわざと意地悪っぽく言ってみると獄寺さんはとても困りだし出してしまった。外見はとてもクールなのに、割と…可愛い人だなと思う。