んな日にも 32
「おや?皆さん綱吉君を囲んでどうしたんですか?何かのゲームですか?」
「キャッ!六道君!!」
「うそっ!今日来てたの!?」
「えぇ。何やら楽しそうなんで混ぜて下さいよ」
「あ…ゲームってわけじゃ…」
「では、何を?」
「や、別に…これは、その…」
突然の骸登場に女子達がうろたえる。
「さ、沢田君が…ごっゴミ捨てに行きたくないって言うから、みんなで…ジャンケンでもしようかって、話してただけで…」
「そっ、そうそう!」
普段の言動が不可解だから俺には謎だけど、骸は顔の良さ+そのミステリアスさ?とかが人気で女子はもう骸のご機嫌を取るのに必死。
…もしかしてこれって助けられてる?
だけどやはり骸の行動は予測不能だ。
「なんだ、そんな事なら僕が綱吉と一緒に捨てに行きますよ」
「え?」
「はっ!?」
「さ、行きましょう綱吉君!!」
言うが早いか、骸は呆気に取られている俺と女子に構うことなく右手で俺の手首を掴み、左手で俺の机から鞄を引ったくるとスタスタと教室を出た。
「骸!ちょっ!骸ってば!」
「何ですか?」
「ゴミ持って来てない!捨てに行く気ないんじゃん!」
「クフフ。君は本当におかしな人ですね。今言うことがそれですか?」
「…あ、いや。…あの、ありがとう」
「いえいえ。あの状況の理由はさほど気になりませんが、先日山本君から嘘の噂を流すなと怒られましてね。嘘をついたつもりは無いんですが誤解があったようなので、そのお詫びです」
「山本…」
「ところで、このまま帰りますか?」
「あ、うん」
骸の気まぐれ?で助かったからこのまま帰れる事に感謝はする。だけど!
「骸!!」
「今度は何です?」
「何です?じゃないよ!手!離せよ!」
「帰るのでしょ?別に良いじゃないですか」
「良くない!!」
さっき下駄箱で手を離されたのに、靴に履き替えたところでまた手を掴まれた。しかも、骸は普通に歩いてるのに俺は小走り…。
「あぁ、コンパスが短いから」
「コンパス言うな!鞄も返せ!」
「おやおや、せっかく持ってあげてるのに」
「頼んでないだろ!」
骸の手から鞄を奪い返して腕をブンブン振りながら歩くがビクともしない。
「そんな風にされると、ますます引きずって行きたくなりますね」
「何でだよ!離せよパイナッポー!」
ギリッ…!
「イタッ!!痛い骸!ほんと離せよ」
骸の掴む力が強まり痛くて思わず立ち止まる。もうすぐ門に着くっていうのに…。