んな日にも 27
けれど、さほど遠いわけではないのであっとゆう間に沢田家前に到着した。
「家まで送ってもらっちゃってすいませんでした」
「いや全然。むしろ家の場所知ったので、いつでも迎えに来れますよ」
「え!?来てくれるんですか!?」
「…っ!!(そんな嬉しそうな顔しないで下さいよ!帰したくなくなる!)」
「えへへ、なんだかディーノさんみたいなお兄さんがもう1人出来たみたいで嬉しいな」
「おっおに…い…( ̄□ ̄;)…(俺、今絶対こーゆう顔してるぞ。やめろ、すげぇブサイクだ)」
「あ、ごめんなさい!俺1人ではしゃい…でっ……!?」
沢田さんの言葉を遮るように片手を彼の頬に滑らせる。きっと兄のような存在は嘘偽り無い本心なのだろう。けど、俺はそんなポジションを望んで無い。
「沢田さん、今日ありがとうございます」
「あ、はい。こちらこそ、ごちそうさまでした」
「また、お迎えに上がりますから」
「…獄寺さん、王子サマみたいですね」
頬を染めてるわりには余裕そうにクスクス笑う彼に少しムッとして、頬に添えた手をスルリと下へ下ろして彼の手を軽く持ち上げ手の甲にキスをする。そう、誓いのキスのように。そして真面目くさった顔でこう囁く
「お休みなさい、我が君」
もちろん、彼は
「なに言っちゃってんですかー!」
と大慌てで車を降りた。寂しいけれどこれくらいじゃないといつまでたっても手を離せそうになかった。
沢田さんは門を開けかけた所で振り返り、見送ると言ってくれたが俺としては家の中に入ってくれないと心配なのでそこは譲らず、俺は沢田さんが家のドアを閉めたのを確認してから家路についた。