んな日にも 25
「つまり沢田さんはあの時俺が黒川…あ、あいつ黒川っていうんですけど、黒川の頭を撫でてるのを見たら何だか分からないけど気分が悪くなられたのだと…?」
「うん…そう言うと嫌なもの見て気持ち悪くなった。って言ってるように聞こえちゃうんですが、そうゆう事では無くて…だけど自分でも分からないから上手く説明出来なくて」
「そう、ですか…」
ひょっとして、俺の自惚れで無ければ沢田さんは恋愛事に鈍感…いや、男相手だからそっちに発想がいかないのか。今すぐどうのって事を望んで無かったにしても、今のままでは確実に圏外!!永久にお友達!!
どんな繋がりでも良いと思っていたが、脈有りなら話は別だ。一番…そばにいたいのだから。
とは言え、当の本人がフラグ立ってんのに気付いてないんじゃあな。どうしたもんか…とりあえず。
「1つ、誤解されてるので言っておきますね。あの時俺は黒川の頭を撫でてたんじゃないんです。その前に何か音を聞きませんでしたか?」
「え?あ、はい。パーン!って音がしたから振り向いて…」
「その音、アホな事を言った黒川を俺がファイルで叩いた音で、うっかり叩いちまったから怪我が無いか確認したんです。沢田さんはそれを見たんですよ」
「え…?」
「撫でてなんか無いですよ。」
「そっ…そうだったんですか」
「俺が撫でたいと思うのはあなただけです」
「…っ!」
沢田さんは顔を真っ赤にして俯いてしまったが、かすかに微笑んでるのが見えた。これで誤解がとけて沢田さんがもやもやすることはないだろう。今は。
…ここでそれは「嫉妬」と伝えてしまえば話は早いだろう。もし今回の事が俺の誤解でも、沢田さんの気持ちはこちらに揺らぐ。でもそれは…したくない。俺への気持ちが本物だと自分で気付いて欲しい。
ただ今回の事がある。彼への俺の気持ちはいつでも真っ直ぐに伝えよう。誤解されたくはない。
卑怯かもしれない…。でも、俺は抜け殻の彼が欲しいわけじゃない。彼が俺を認めてくれた上で俺を欲してほしい。