んな日にも 22
隠さず相談したいことはしたいけど、昨日の今日で本当に自分でもよく分かって無いことを今日誕生日の人に話すのも気が引ける。
そう、山本は今日誕生日なのに…
「山本…昔の俺は今よりもっとダメツナで、こんな風に接っしられる友達が出来るなんて思いもしてなかったんだ。中学で山本と出会えて本当に良かったといつも思ってる。親友でいてくれてありがとう。だから本当に、誕生日おめでとう!」
凄く照れくさくて、本人を見ながらは言えなかったし、産まれてきてくれて。なんて大それたことも言えないけど、何とか気持ちは伝えたかった。
「サンキュ、ツナ!マジで嬉しい。プレゼント貰った気分なのな!」
「プレゼントって、そんな…でも、喜んで貰えたなら俺も嬉しいや。それと、心配してくれてありがとう。話せるようになったら相談してもいい?」
「もっちろん!いつでも話してくれよな」
「うん!」
話が一段落ついたところでタイミングよくフゥ太が
「もーいぃーよー!」
と遠くから叫んできたので2人で竹寿司に入ると…沢山のクラッカー音に
「山本武!誕生日おめでとう!!」
と何人もの声がハモった。
そこには野球部の人達や高校の友達、中学の友達までも集まっていたので驚き、フゥ太に聞くと山本のお父さんに山本の友達を教えて欲しいと聞いたら芋ずる方式であちこちから参加者が集まったと言う。まさに山本の人徳をあらわしてる。
俺はあまり話したことの無い人達もいたけど時間がたつにつれて溶け込んでいけて、1人でウジウジ家で丸くなってるよりは良かったと思う。
パーティー自体は話を聞いた山本の友達が幹事になって色々してくれたみたいだけど、企画者はフゥ太だ。いつの間にこんなことしてたのかと本当に驚いた。
「フゥ太、よく頑張ったな!」
「えへへ。たけし兄喜んでくれてるよね?」
「うん、楽しそうだよ」
「良かった。ツナ兄も元気になった?」
「…あぁ、なったよ。ありがとな?」
「うん!」
まぁ、昨日ディーノさんに連れられて帰ってきた俺を見てたから…でも、まだ心配してくれていたのか…。
親友に心配させて、こんな小さい子にまで心配させてるなら…
「心配くらいさせてもらえませんか」
…あの時の獄寺さんの声が頭に響く。なんて態度をとったんだろ。
「よっ、ツナ!寿司食ってるか?」
「うん、食べてる!山本…」
「なんだ?」
「今日、ありがとね?」
「アハハ!ツナ、それって俺のセリフなのな!」
「あ。そっか、そーだよね。ハハッ!」
…でもほんと、ありがと山本。今日外に出て良かった。誕生日に人の繋がりの大切さを知った気がするんだ。俺は…嫌わちゃったかもしれないけど、獄寺さんに謝りに行かないと…。チャンスは来週。このモヤモヤした気持ちがこの一週間で変わることを祈って…。