んな日にも 19













あのカードの写真を撮ってるなんて獄寺さんには驚かされっぱなしだなぁ…
モデルにもカメラマンにもなれて、センスもよくて接客も凄く優しい。ディーノさんと来たときも何だかんだ言いながらさり気なく服を選んだり直したり、あーゆうのを仕草にそつが無いって言うんだろうな。

今は何かをしに行ってしまったけど…
あ、別の店員さんが来たみたいだ。この前の人とは違う。タイプも全然違って大人の女の人って感じ?

2人並んでると…お似合い…だなぁ…。
あ、何だろ…なんかモヤモヤする。さっきまで凄く楽しかったのに、気持ちが急降下する。こんなの変だ…そうだ、他のウォレットチェーンを見てみよう!そう思い店内へ目を移した瞬間に「スッパーーーーーン」と音が響いた。

驚いて振り返ると、俺からは獄寺さんの顔は見えなかったけど…獄寺さんが女の人の頭を撫でた……さっき俺の頭を撫でてくれた…あの手で…。




な、に…?何?この気持ち。

どーしよ、何だろ…心臓がうるさい。ザワザワする。わけわかんない…

気持ち…悪い。

…ココに居たく、ない…。

どうしよう…どうしよう…

















「ったく、沢田さんは高校生だ!(俺もそうは見えなかったが…)」

「えっ…!?」

「あ〜…思わずファイルで叩いちまって悪かったな、怪我ねーか?」

「えぇ、痛かったけど大丈夫です」


やはり沢田さんの事になるとどーにも感情が露わになる俺は、手に持っていたファイルで黒川の頭をひっぱたいてしまった。固くは無いが、わりといい音がした…念のために頭を触ったが痛がらないからタンコブすら出来ていないだろう。それより!


「お前を叩くために出したファイルじゃねーんだ。他の客来たら任したからな!」
沢田さんを待たせてる事を思い出し
「はいは〜い、頑張って下さいね〜」
とやる気無く意味深な返事をした黒川に「何をだ!」とツッコミたいがそんなことより沢田さんの元へ近づくと…様子がおかしい。

胸の辺りの服をギュッと掴み、固く目を閉じて俯いている顔は蒼白だ…!!
驚いて駆け寄り、沢田さんの前で跪き顔を窺う。


「さ、沢田さん?どうされたんですか!?ご気分が悪いんですか!?」
声をかけると、俺が近づいた事に気付いてなかったのか、驚いたように顔を上げた。

瞳が潤んでいる…不安そうな顔でいっぱいだ。さっきまであんなに元気だったのに、どうしたって言うのか…。







ー19ー



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