んな日にも 18













「…後ろはこの辺りに着けて、前は…この辺りがいいかと」

「あ、はい。(…さっき、変な間があった気がするけど、気のせいだったのかな…)」

「鏡はこちらに…いかがですか?」

「はい、コレ着けただけで今日の服のイメージが変わりますね俺が着けててもあんまり違和感ない…かも?」

「ええ、全然平気ですよ。抵抗が無いようにまずは1番シンプルなデザインを選んだんですけど、俺が着けてるやつみたいにチャームが着いてるくらいならうるさくならないし、可愛いのでお薦めですよ。」

「あ!ホントだ、猫が付いてますね!」



ふぅ、何とか邪念を振り払って平然を装えたな。開き直ってるって?あぁそうだ!俺は沢田さんの事となると駄目だと自覚した。だから、彼を怖がらせない為に表面上は紳士でいるべきだ。


「ここのデザインしてる人は猫好きなんですか?」

「ん〜…特別猫が好きとは聞いたこと無いですねぇ。何故です?」

「あ、この前貰ったカードも猫だったんで、ふと思っただけなんですけど」

「あぁ、あれは俺んちの猫ですよ。だからしいて言えば俺が猫好きですかね」

「え?あのカードの猫って獄寺さんちの猫なんですか?」

「えぇ、カードはだいたい俺が撮った写真で…」


言い終わる前に俺は自分の手で口元を覆った。…やっべー…鼻血出るかと思った。
沢田さんが俺にこれでもかってくらいキラキラビームを送ってきているからだ。眩しくて直視出来ない。


「あ、あの…?」

「俺、あのカード凄い好きで部屋に飾ってるんです!獄寺さんが撮ってるなんて凄い!いつもそうなんですか?」

「えぇ、月1ペースで変えるんですけど…あ、ちょっと待っててもらえます?」

「?、はい。」


言って俺は沢田さんから離れて奥のカウンターへ向かう。元々俺の写真の評判良いから使ってはいるが、やはり今までで一番嬉しい。

そこへ、黒川が出勤してきた。俺は舌打ちしそうになるのを何とかこらえて挨拶を交わす。まぁ、他の客が来たらこいつに対応してもらう事が出来るから良しとする。
お目当ての物を捜していると黒川が話しかけてきた。


「あの子は…お客様…ですか…?」

「あぁ、俺が受けてるからいい。……沢田様だ」

「え?…ショタコン!?」




スッパーーーーーン!!!!!!




「イッた!!ちょっ、今本気っ!!」

「黒川、次にそれ言ったら果たすぞ…」

「は、は〜い…(やべ、この人目が本気だ)」







ー18ー



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